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夢かなう時

前回「潮時」という記事を書き、ひとまず区切りをつけたこのブログであるが、およそ1年半振りに近況を書いてみようと思う。


バイオリンはまだ続けられている。


時折、一時的にバイオリンを休まざるを得ない状況が発生したりするが、その都度、回りの楽器仲間に半ば強引に手を引いてもらって復活をし、おかげでいまもバイオリンを楽しめている。

半年ほどバイオリンを休んだとしても、それほど腕は落ちないようになった。
もちろん初手はひどい音が鳴ったりするが、数日もすれば元に戻る。
久しぶりに自転車に乗ると、最初は怖いがすぐにカンが戻るというのに近い感覚だろうか。

バイオリンとビオラの持ち替えをしても、混乱しないようにもいつの間にかなっている。


いまや、他の分野の楽器の人たちと共に、ミニライブのような催しをやったりして、セッションや人前で演奏を披露する機会は着実に増えており、一年半前とは比べ物にならないくらい、「楽器を弾く」という事が人生に浸透してきている。

もう、私は初心者だと名乗れないだろうし、まわりもきっとそう認識していないだろう。


    


さて、そろそろ本題に移ろう。

実は一昨日、9月3日に坂本音楽スタヂオの発表会があり、久しぶりに出演をして来た。
その時の事があまりに嬉しく、ここに記しておきたいと思ったのである。


今回の発表会で私は「You Raise Me Up」という曲をピアノ伴奏付きのバイオリンソロで弾いたわけなのだが、冒頭部、ピアノ伴奏が鳴り始める前にバイオリンで「アドリブ」で自由に弾く部分があった。

本来、その部分は無伴奏でバイオリンだけで奏でるという編曲だったのだが、ちょっと趣向を凝らして、そこに「ドローン」を鳴らすことにした。


この場合のドローンとは、空中を自動で飛び交う今流行の機械のことではなく、単音で変化の無い長い音を鳴らす演奏手法の事なのだが、そのドローンを嫁がチェロで弾き、「伴奏」をしてくれたのである。


嫁はチェロで、ラとレの重音を開放弦でひたすら鳴らし続けて、場の雰囲気を作る。
イメージは、スコットランドのバグパイプの創りだす空気感。


その雰囲気の中、私がソロで自由に弾く。

自由で、何にも縛られない時間が流れていた。



実は、この曲「You Raise Me Up」は、我々夫婦の結婚披露宴で、お色直し後の入場に使った曲なのである。
私は当時からこの曲が大変好きだった。

結婚から9年を経て、結婚した時には触ったこともなかった弦楽器で、夫婦で本番の舞台で、その曲を弾く。


言いようのない幸福感に包まれた時間であった。


    


6年前、私はバイオリンを初める前から、嫁とのセッションを目論んでいた。
しかも、「今から二人共がゼロから始めた楽器で、人前でセッションする」というとんでもない目標を立てていた。
2010年6月10日の記事にきっちりと記されている。


それが、6年越しに叶った瞬間であった。

当時は、ピアノをはじめさせるという方向であったが、まさかのチェロ。


読者の皆様は、この記事を覚えているだろうか。


チェロはじめました


そう、嫁は本当にチェロを始めていたのである。
実はあの記事を書いた時点ではほとんど冗談だったので、もらったチェロは数年間放置されたのであるが、今から2年前に本当にチェロを習い始めて、そして新たにチェロも購入して今も続けていたのである。


そして、一昨日。
ついに、6年前には二人共触れたことも無かった楽器で、人前でセッションをした。


一つの夢がここに叶う


公に宣言をして、真剣に取り組んだ夢や目標は、
本当に叶うのだということをあらためて思い知った瞬間であった。


    


大人から、しかも三十路を迎えてからバイオリンをはじめて、本当に弾けるようになるのかという問いに関して、今は自信をもってこう答えたい。


弾けるようになる・・・と。


ただし、レイトスターターにはレイトスターターなりのやり方があり、それを教えてくれる良い師匠を見つけることができて、ちゃんと練習をすれば・・・という条件はつくが・・・。


だから、バイオリンに限らず、何か楽器をやってみたいと思っている人は、是非とも一歩踏み出してみて欲しいと思う。
きっと、その人なりに楽しめる状況に数年間でなれるだろう。


    


さて、9月は後2回、ライブでの演奏機会がある。
どちらも発表会ではなく、バイオリン弾きではない一般聴衆が相手だ。
特に後の方のライブは、一般客のチケットが有料のイベントであり、去年は「聴衆」として聴いていたステージに今年は演奏者側で乗る。


明らかに何かが変わり始めている。

今までは自分の楽しみで自分のために弾いてきた。
そして今からは、聴いてくれる人のために弾くという所に手を出し始めている。


一年後、三年後、五年後・・・自分はどんな舞台に立っているんだろう。


広がりつつある、否、自分で広げた世界をまずは存分に楽しむとしよう。
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潮時

バイオリンを始めてもうすぐまる5年。
ここ2年半ほどは、レッスンにもまともに通えていなかったし、年に数えるほどしかバイオリンを手にしてこなかった。ブログの更新も再開しては止まり・・・を繰り返している。


そろそろ、どうするかを考えるべき時だ。

潮時・・・というやつである。


    


私はバイオリンを弾けるようになっただろうか?


― なった・・・と思う。


その答えは、本来は聴き手に委ねるべきだろうとは思う。
しかし、私自身としては、少なくとも もはや「弾けない人」では無いと思う。

ちょっとジブリの曲を自分で楽しめる程度に弾ければ良いや・・・くらいに思ってバイオリンを初めたのである。

そのラインはとうに超えたと思う。
人に感動を与えられるレベルかと言われれば程遠いが、レイトスターターの趣味レベルとしては「楽しめる」ところまでは来た。


では、目標だった「セッションをする」はどうか?
できるようになっただろうか。


― なった・・・と思う。想像以上に。


妄想してた目標ラインはもっと低レベルだった。

セッションする相手すらいなかった5年前の自分。嫁にピアノを弾いてもらって、私が旋律をヴァイオリンで弾けたら素敵かもしれない・・・という程度の妄想だった。

今、弦楽アンサンブルや弦楽四重奏の会に出向いて弾いたりしている。むしろ、弦楽四重奏の会は発起人に近い。
嫁とは、嫁がリコーダーを吹くという違う形でのセッションが成立している。ヴィオラをウクレレのように弾いて嫁のリコーダーとセッションをする等の変則的なセッションまでやってしまっている。

元々持っていた「楽器で楽しみたい」という、ぼんやりとしたイメージからすると、十分過ぎるくらいに達成していると思う。


どうやら、元々、ふんわりと「楽器を弾けたら、こんな風に楽しいだろう」と思っていたことは全部、3年位で実現してしまっていたように思える。

だからこそ、この2年間は迷走した。
「まぁまぁ弾けるようになった」その次にどうしたいのか・・・考えていなかった。人から見れば大したことのないレベルだろうが、そこで満足して落ち着いてしまったのである。


    


だから、潮時・・・いや、それすらも、とうに過ぎてしまったのかもしれない。

このブログの役割も終えてしまった様に思えてくる。


なぜなら、開設当初からこのブログのトップに書いている紹介・・・


『バイオリンでセッションがしたい』 バイオリンに触ったこともない只の呑んべが三十路にして持った無謀なる夢。 夢叶うか敗れるか・・・それは神のみぞ知る結末。




これは、もう叶ったと思うのだ。


もはや、神のみではなく、私が知っている。
間違いなく大人になってからでもバイオリンは弾けるようになると今では思える。
もちろん、「弾ける」の認識に個人差はあるだろうが、練習すればちゃんと弾けるようになる。

だから、目的を果たしてしまったこのブログは、ここで無理矢理に終止符を打とうと思うのだ。


    


そして、改めて自分に問うた。


『ここで良いのか?』


初級に毛が生えたレベルで何年も止まってしまってその先に行かない。
バイオリンにかぎらず、趣味の世界・・・いや、あらゆる分野でよくある話だ。私もまさにそこに居ると思う。

そこでも十分に楽しい。
いや、むしろ、さらに上を目指すことは苦しみを伴う。
そこで立ち止まっている方が「快適」だからこそ、そこで止まるのだ。

仕事でもなんでもない。お金をもらえるわけでもなく、むしろお金を結構使っている。見渡せば他に安易に快楽を与えてくれるモノはこの世にゴマンとある。バイオリンの弦ワンセットで結構なごちそうが食べられる。

今のレベルでも十分に楽しい。
たまに声がかかったら弾きに行って、お酒お茶を飲んで仲間とワイワイやる。
望んでいたコミュニティは手に入った。


先を目指すだけが趣味ではない。
特に、私は取り立ててバイオリンで弾きたい曲ややりたい事があるわけではなかったのだ。


『ここで良いのではないか?』


― 否。


私は、音楽では さらに「向こう側」 を既に知っている。

聴き手に感動を与える事ができたと実感できた時の空気感と高揚感。
一緒に演奏する時の言葉を超えたあの独特の共同感覚。

あれは歌だけの世界なのだろうか?
いや、そんなはずはない。せめてあの世界をバイオリンやヴィオラでも見たい。


自分の歌のレベルにまで弦楽器の演奏能力を引き上げられるだろうか?

私が歌を歌うとき、カラオケだろうが何だろうが、一音一音に意味を持って歌う。ロングトーンを投げてしまうことなど当然有り得ない。発音はもちろん、ブレスも休符の空気も全てをコントロールして場の空気をつくりたい。

でもバイオリンでもヴィオラでも、そんな事をするには全く腕が足りない。
弦楽器は、自分の歌のレベルに到底およばない。


楽器を弾く時、集中していると頭のなかには理想の音形が流れている事がある。
しかし、それを再現できる腕は、今、無い。


― ここで終わりたくない。


最近、そう思い始めた。

レイトスターターでも弦楽器で「うたう」事ができるようになるのだろうか?

それを自分で見てみたい。


その矢先、ついに弾きたい曲が見つかった。


潮時である。


次なるスタートを切るための時期が来たと思おう。


ここから先の未来は気持ちも新たに、新ブログで語りたいと思う。


呑んべ三十路の弦楽道楽
http://heatkittanblog.blog.fc2.com/


引き続き、私の弦楽器珍道中を時々覗いていただけたら嬉しい。



真 復活編04 -復活レッスン-

2014年4月27日
その日はやってきた。

復帰一回目のリハビリレッスンである。
「発表会用の曲」を携えてレッスンに望むのはいつ以来だろうか・・・。

おそらくは1年以上前である。
緊張が高まる。


私 「どうも・・・お久しぶりで・・・」


先生 「お久しぶりで・・・」


嫁 「こんにちわ~」


と手を振る何故かついてきた嫁。
手を振り返す先生。


先生 「どうですか 旦那は?」


― なぜ嫁に聞く


嫁 「えっとねぇ・・・音程とかひどいです。 ウフフ・・・」


orz


調弦をしている横で、私の凋落っぷりを先生に語る嫁。


先生 「ふむふむ・・・。なるほど。とりあえず聞いてみましょかね」


  


さっそく第1楽章を一人で弾かされる。

ちなみに曲名がDUETTOなので、当然デュエット曲である。
休止前、デュエット曲であれば一発目のレッスンから「じゃあ、とりあえず」という事でイキナリ合わせるということが多かった。おそらくだが、調弦の時点で「こいつぁ・・・ダメだ・・・」と思ったのだろう。


ところどころ間違えたりしながら一応は最後まで弾く。


先生 「ふーむ・・・」


― ドキドキ・・・


先生 「音程は嫁が言うほどでもないですね・・・」


― ですよね


左手の音程は思ったほど落ちてない。
これは事前のセルフチェックと同じだ。


先生 「問題は右手ですなぁ・・・」


― デスヨネー・・・orz


先生 「まず、ごまかして弾かない


私 「ごまかして?」


先生 「久しぶりだから、できたはずのことが色々できなくなってますよね?」


私 「・・・」


先生 「でも、耳元でなんとなくそれらしくなるように雰囲気で色々やってますよね?」


私 「・・・」


先生 「それをやめましょう」


ラッシュ来た。


先生 「そのためには、まず、ゆっくりと一音一音弾きましょう。それができる速さで。」


先生 「まずはしっかりつなげて弾く。切るのはいつでも出来るんです。」


先生 「それでもう一回弾いて下さい」


もう一回頭から弾く。

弾き始めると一小節も行かない間に止められて大量の指摘が来る。


先生 「腕と肩まわりを柔らかく!」


先生 「移弦で腕を下ろす時に力で行かない!」


低音弦から高音弦への移弦の際に「ふん!」という感じで腕の力で移弦をしてしまっていた。
力が抜けていれば重力の助けで自然と移弦ができるはずなのである。


先生 「ここ。この筋肉が動かないように意識して下さい。」


腕の付け根の筋肉を指で押しながら移弦だけをやらされる。


先生 「動いてる!」


― ひぃ・・・そろそろ私のライフはゼロよ?


こんなに旦那が絞られているのを嫁はさぞかしニヨニヨ見ているだろう・・・と思い嫁のほうを振り返ると、

見てなかった。


イヤホンをしてスマホを一生懸命に覗きこんでいた。


― お前・・・何しに来たん?


再び丁寧にゆっくり弾かされ、各部をチクチクと補正されていく。


  


しばらくすると音程がずれるようになってきた。
それを耳で聞いて補正するが、なぜずれるようになってきたのか理由がわからない。


― んー? つかれてきたかぁ?


先生 「そうやって音程補正してるでしょう?」


私 「えぇ」


先生 「指おろしてから補正するんじゃなくて、補正が必要なら次からは一発でやらんと。」


私 「??」


先生 「調弦ずれてきてるんですよ。」


私 「!!」


先生 「耳では気づいていて、補正しようとしてるけど、なんでずれて来てるのかわかってなかったでしょ?」


そして、私からバイオリンを取り上げる先生。


先生 「今日は調弦私がやりますね。


orz


屈辱の先生調弦。
右手が荒れ過ぎていて調弦をちゃんとできないと判断されたというわけだ。


  


結局、この日はゆっくり一音一音丁寧に弾く というのに終始した。


先生 「音を捨ててはいけません。」


先生 「一音一音に神経注ぎながらゆっくり丁寧に弾いて来て下さい。」


曲想になど全く踏み込まなかった。
踏み込むところまで全く届いていなかった。


ただ、この日、一回だけデュエットで合わせてくれた時に思った。


― これは・・・作ってきた曲の方向完全に間違えてたな・・・


次回へのヒントは得た。


しかし、何にしても1回目のレッスンは惨敗である。

真 復活編03 -弾いてみる-

左手の「被害状況」をチェックする。

速い動きは当然不可能になっていたが、ファーストポジションでは心配していたよりは音程のブレはひどくなかった。

ただ、やはり小指は届きにくくなっていたため音程が甘くなりやすく、また人差し指もフラット側に振れる場合に音程が安定しない。(つまりハ長調だとE線のファが甘い)
そして、ファーストポジション以外のポジションはまったくもって話にならなかった。だがこれは、元々休止する前にも「一旦できた」と自分で思える所に至っていなかったので仕方のない話。


― まぁ・・・こんなもんだな・・・・


とりあえず左手は今直ぐには無理して補正をしないことに決めた。
今回、発表会でやる曲はト長調でバロック時代のもの。

ト長調はバイオリン初心者が「とっつきやすい調」の一つである。
ハイポジションは基本的に使わないし、小指も積極的には使わなくて問題ないはずだ。


― 時間がないから一旦ターゲットを絞ろう


長々と書いているが、大体ここまでで40分~45分位かけて補正をしている。
大半はボウイングの補正に費やしているが・・・。


  


いよいよ曲にとりかかる。

TelemannのDUETTO
私は聞いたことが無かったが、おそらく世間的にも無名曲だと思われる。


とりあえず、1楽章をゆっくりのテンポで弾いてみる。
これで太刀打ちできない感じであれば、曲のレベルをさらに落とすか、最悪出場取消。

完全に初見だが、1楽章を最後まで一応はさらってみる。

つまったり、間違えたりはもちろんするが弾けないということはない。


― ふむ・・・無理ではなさそうだな。というか大丈夫なんじゃね?


早くも調子に乗り始める私。

しかし、私は忘れていたのである。



これはバロックで作っていかねばならないことを・・・。

久々だからといって曲の「作り」に関して先生が手など抜いてくれなどしないことを・・・。


そしてAffettuosoを時代考証なしに「愛情を持って」という誤解釈をし、「ねっとり」とした弾き方で、事もあろうに、「ブランク合った割に意外といけるやん俺」という勘違いを胸に復帰後のファーストレッスンを迎えるのである。


続く。

真 復活編02 -ボウイング再構築-

久しぶりにモガを鳴らした。


― ひどい音だ・・・


カスカスでギリギリという音がなる。
もともとモガは気分屋なところがある楽器だが、このひどい音は完全に私の腕によるものだ。


弓がまっすぐ引けない。


前後に腕がぶれ、バイオリンに対して弓を直角に維持できない。
さらに、駒からの位置も一定に保てない上、弓を動かす面がぶれて隣の弦を頻繁に触る。
これだけ動きが安定しないと「載せられない」ため、カスカスの音しかでないのだ。


― ぁー・・・これは解放弦からやり直しだな・・・


調弦だけでも・・・と思っていたが、重音がまともに弾けない。
単弦でもまともに弾けないである。重音は論外だった。


諦めてひとまず、全弦チューナーを頼りに調弦をすることにした。
しかし、合わない。

数ヶ月触っていないペグが弦によって硬すぎたり柔らかすぎたりして良いところで止まらない。止まってもすぐに緩む・・・を繰り返す。特にG線は何度合わせてもちょっと弾くとピヨーンと緩む。

格闘すること10分弱。
なんとか全弦の調弦を許容範囲内に収めた。


  


とりあえず、左手は後まわしにする。
右手から・・・いや、バイオリンの持ち方からだ。


冷静に自分を見てみるとバイオリンの糸巻きが肩よりも遥かに高い位置に上がっていた。
調弦の格闘で体に力が入ってしまい肩と顎で「ぐっ!」っとバイオリンを持ち上げてしまっているのだ。

これを緩める。

楽器を一度おろして肩周りをストレッチする。
そして、構えて降ろす・・・を繰り返す。
『顎で挟み過ぎない』ことを意識してふわっと顎当てを顎にちょっと引っ掛けるようにして持つ。

幸い「収まる場所」は体が覚えていてくれたようだ。


  


次に弓を持つ右手に目を向けると、これまた「浅い」と思えた。
指先でつまむような持ち方になってしまっている。
その為か、調弦で鳴らしている間にも頻繁に「持ち直し」が必要だった。

「弓の持ち方」の最終形そのものを思い出すのではなく、本当に初心の時に習った「弓の持ち方」の作り方、プロセスの方を思い出す。

手を「ゆるいキツネ」にして、手のひらの内側に弓を通し、親指は一旦フロッグの外側から全体をガバっと握りこんでから毛と弓の間に置き直す。こうするとガチッと安定して弓を持つことができる。

先生には「弓の持ち方が浅くなりかけたら時々やると良いですよ」とアドバイスをもらっていた。まさに今、その教えが活きる瞬間である。

感覚的なところなので説明が難しいが、やってみると「ぉ、これこれ」と思える場所に一発で落ち着いた。幸い弓の持ち方も「収まるところ」を手が思い出してくれたようだ。


後から思ったが、この時点でこの日の「ノルマ」が「バイオリンをケースから出す」であったことはすでに完全に忘れていた。


  


― さて・・・やっとこさ開放弦だな・・・


開放弦の「リハビリ」でも助けてくれるのはやはり過去の教えである。
バイオリンを初めてから2回目のレッスン時の様子がこのブログに記録されているが、まさにそれをフラッシュバックさせるかのようにさらった。


テンポ60、全音符のロングトーンを開放弦のD線・A線を使って全弓で弾く


重要なのは無理に弓を真っ直ぐに持って行こうとしない事。
意識の上では真っ直ぐを目指すが、腕で無理に「まっすぐ」を作らない。肩と腕の付け根の筋肉を緩めて、各部を無理なく正しく動かした結果まっすぐであるように持っていく。

最初に弓が弦の上通る位置を目視でチェックしながら駒近くに固定していく。
この時は隣の弦をさわろうが、弓が少し斜めになっていようが一旦気にしない。駒近くを通っている時の「弦の反発具合」の感覚を右手に思い出させる。

 

ある程度気が済んだら、次は前後の補正。つまり、弓が斜めに走っているのを補正する。
特に意識するのは「ダウンの最後」である。

・手は思っているよりも向こう側まで行く
・肘は思っているより下まで来る



そのためには肩が緩んでいないとその位置まで手も肘も行かない。

人間の腕は構造的に見て円運動に向いている。
よって、バイオリンを弾いたことが無い人が何も考えずに弓を動かすと、肘はかなり内巻きに身体寄りに向かって動き、結果として弓は斜めに動く。長いブランクがあったり、あるいは、ボウイングを適当にやっていると同じように「本来の腕の得意な動き」にしたがってまっすぐ崩れて行く。

どうおかしいのかは感覚的にチェックするしかないが、何をチェックすべきかは過去に教えられた理論から引きだす。

各部はどう動くのが正解か?
その通り動いているか?
思った通りに動いていないのはどこがおかしいのか?
おかしくなっているのは何故か?
どこを緩める・伸ばすと良いか?



これらを分解し分析し、理論と感覚と実際の動きを合わせていく。

この時も肩の周りがこわばっていて肘が下がらず、その為に腕の動きが制限されて肘が内向きに動いていた。「全弓を使って」という意識が別にあるため、さらに無理に腕を後ろ側に引くような動きになってしまっている。これでは右手の動きが円に向かってるので弓がまっすぐになるはずもない。

まず、肩と腕の付け根の筋を緩める。
ダウンの最後で腕の力を抜き、腕の重みで肩が引っ張られる位、大げさに言えば肩の骨が外れるようなイメージで大げさにやる。当然、一旦ボウイングは崩れるが気にしない。

これで腕全体の可動域が広がるので、手を右前に押し出すように肘から先を伸ばすイメージで補正していく。緩めすぎると、面がぶれてダウンの最後で隣の弦(高音側)を触ってしまうので、肩周りの緩め具合を適度なところに調整する。

これで前後はかなり補正できた。

 

次に、動く面の補正。時々隣の弦を触ってしまうのは面が崩れているのだ。
私が面の補正で意識するのは「アップボウの最後」、肘が上がっている状態である。

・アップボウの後は思ってるより肘が上がる。
・でも肩は上がらない



これも過去の自分がブログに残している先生のアドバイスだ。
肘から先だけで持っていくと腕の可動域の制限によりアップボウの最後で動きが窮屈になり、弓の動きが安定しなくなる。
それを手先で補正しようとするため面がブレる。

私の過去のパターンでは、肘が上がっていない時は手前の弦(高音側の弦)を触りやすく、方が上がってしまっているときは向こう側の弦(低音側の弦)を触りやすい。この時は手前を触ったり向こう側を触ったりしていた。つまりアップボウの後半の動きがめちゃくちゃということだ。

これもダウンの時と同様に肩周りの脱力をかなり意識したままで、アップの後半で腕を「そぉい!」と持ち上げるイメージで補正していく。

 

これらを順に積み上げ、そして意識的に肩周りの力を抜いていく。
あるポイントを補正すると別の所が崩れたりするので、少しずつ纏めながら全体を補正してそれを連続的に滑らかに出来るように右手に神経を配る。


やがて、「ぉ・・・こんな感じの感覚だったよね」という範囲に収まりはじめた。
すると、最初は不規則な振動を見せていた弦が大きく円を描く振動に変わって行く。

弦を引っ掛けて手で引っ張る感覚が戻ってきた。音が変わり始める。


よし・・・鳴ってきた。


弦が円で振動している時は弓がほぼ完全にまっすぐに動いている証拠。

ここから腕の重さを載せていく。
私のイメージは「下に向かって重みを乗せる」のではなく、「円を大きくするために引っ張る」イメージだ。


― よしよし・・・こんな感じ。こんな感じ。


単弦の開放弦は数日リハビリすれば何とかなりそうだ。


  


今更ながら私は一人で勝手に先生に感謝していた。

私のバイオリン技術は、見取り稽古と反復による刷り込みで意味も理由もわからず覚えたものでは無い。初めての時もこうやって理論的に科学的に教えられたのである。

理論的に教えられて理解して身につけたことは、一度失っても同じ理論で同様に再構築可能だ。

レイトスターターの社会人なんちゃってバイオリニストとしては楽器を弾けない時期があるのも仕方がない。そんな時にこうして自分である程度再構築できるのはありがたいことなのだ。


もちろんまだ完全には戻っていない。
移弦でくずれるし、単弦でもまだ音の立ち上がりと弓の止め・切り返しに不満が残っていた。
もちろんこれらへの対処法も教えられているし、ブログを読み返せばどこかに書いてあるだろう。

しかし、ボウイング補正の続きは後日にすることにした。
やり過ぎて嫌気がさしてしまっては元も子もないのである。


― さて、とりあえず一旦置いて、次は左手だな・・・


続く。
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プロフィール

ぷぃぷぃ 虫

Author:ぷぃぷぃ 虫
酒飲み三十路男。
ふと思いつきでバイオリンを初めてしまう。合唱歴は10年超えだが楽器は素人。
ひょんな事からヴィオラも初め「させられる」。レイトスターターながらスイッチプレーヤーを目指すことに・・・

職業 SE。やぎ座のA型。

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