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出会いは突然に(後編)

お世辞にも大きいとは言えない地元の楽器店に入り、最初は楽譜を物色したり、一艇しか置いていない売る気があるとは思えないバイオリンを眺めたりしていた。

そして、そのうち、売り場面積の8割以上を占めているピアノに目が行ってしまった。

笛にシフトし始めているとは言え、一応は嫁のピアノを探そうとはしている我々である。
こんなに良い暇つぶしは無い。


私 「これ、調律してないなー」


とか、


私 「こいつ、鍵盤ゆるいなー」


とか言いながら、片っ端から試奏して行く。
買う気は全くないのであるから嫌な客である。


店員もそれが分かっているのであろうか、全く声もかけてこず、放置してくれている。
普通の楽器店では「お手を触れないでください」などのポップが掲げられていて、買う気がない客が冷やかしでピアノに触ることを牽制しているが、この店は別に問題なかったのだろうか。

ところで、この楽器店、バイオリンを始めようとして教室を探していたときに、一番最初に行ったあの楽器店と同一である。当時、バイオリンを習おうとこの楽器店に併設されている教室の門を叩こうとした私は、入口に佇む怖いオッサン、もとい貫禄のある店員に怯んで何度も前を通り過ぎたものである。
そのような貫禄ある店員が数名うろついている店内ではポップによる牽制など確かに不要かもしれない。


   


何台か普通のピアノを冷やかして満足し、そろそろ店を後にしようかと思い始めていた頃、店に入ってきたときは気付かなかった入り口付近に安置されている、一風変わったピアノに嫁の目がとまった。


嫁 「ぁ、これかわいいー」


家に置いてあるアップライトピアノと言えば、普通は黒塗りのテカテカの四角いアレである。
しかし、これは一般的なそれとは風貌が異なっていた。

色は茶色。木目調の落ち着いた外観をしており、高さが少し低い。普通のアップライトなら上前板がストンと垂直に降りてくるのに対し、このピアノは上前板が屋根から鍵盤に向かうにつれ、少し斜め前にせり出してきている。
椅子が同じ木目調でセットでついており、全体の雰囲気が特徴的で非常に目をひくピアノであった。

嫁が好きそうなデザインである。


嫁がピアノの音を鳴らしてみると、音も結構良い。


― ぉ!結構いいね。


少し興味を惹かれたので、椅子に座り弾いてみる。

他のピアノは調律が適当だったのに、どういうわけかこのピアノだけは調律されている。


昔々に覚えた曲や、合唱曲の伴奏の一部等を弾いてみる。


― ぉー。わりといいねー


私が試奏をしている横で嫁がしきりに


「これいいなぁ・・・これいいなぁ・・・」


と連呼している。確かに悪くない。

端から端まで音をならしたり、鍵盤の戻りやオクターブでの弾き易さ等を試していると、


店員 「ピアノお探しなんですか?」


気がつくと店員がそこに立っていた。
私の態度が「冷やかし」から「試奏」に変わっていたのだろう。
流石というか・・・。


嫁は半ば興奮気味に、自分がピアノを始めたことやピアノを探していること、そして、このピアノが可愛くて素敵であるというような事を店員に説明している。

私が店員ならこう思うだろう。


― あぁ。コイツこのピアノ欲しいんやな


店員 「じゃあ、よかったら、この値段で即決しときますか?」


明らかに勝手に「落ちている」嫁に対して、ストレートな値段交渉。

しかし、いずれは買うことになるピアノ。
当初の嫁とのセッション計画における、嫁のピアノ上達を思えば早く買うに越したことはない。
ピアノのことをそんなに分かるわけでもないが、「中古」ピアノ、それも自分と同い年くらいであるというのが信じられないほど綺麗で状態が良く、買っても良いと思える値段である。


しかし、一度頭を冷やさせることにする。
楽器の即決は禁止。


私 「ちょっと、そこいらでお茶して考えてからまた来ますわー」


そう言って、近所のスターバックスへ行き、嫁の話を聞く事にした。


   



聞く・・・と言っているが、嫁がもう「欲しい」と思っているのは間違いない。
彼女はきっと「出会ってしまった」のだろう。
楽器との運命の出会いは思いも寄らないタイミングで訪れるのだ。


嫁 「名前何にしよかなー・・・。ジュリエット!


嫁 「あぁー・・・ジュリエット。ウチに来たらええのにー」


― 名前まで決まってるのか・・・じゃあ、もう確認の余地はないな


私 「ちゃんと、練習するんか?」


楽器が欲しいと言う子に、世のどれだけの親がこの意思確認を行い、そして裏切られて来たことであろうか。


嫁 「するよー。絶対」


私 「お金あるんか?」


我が家では趣味に関わる買い物は個人財布でと決まっている。


嫁 「とりっこ債権で!」


説明しよう。


とりっこ債権とは、要するに嫁が私にする借金のことである。
我が家では嫁の事を「とりっこ」と呼んでおり、私が「とりっこ」に対して債権を持つことから、『とりっこ債権』という名が付いている。ちなみに、『ぷぃぷぃ債権』というのも存在する。


つまり、嫁は私に「金を貸せ」と言っているのである。


しかし、嫁が提示した借入金額はピアノの価格より少し低い。


私 「残りはどうするん?」


嫁 「出して!・・・ください。」


嫁は、自分が近々返済できそうな金額を借りた上、それで足りない分は「お前が出せ」と言っているのである。
なかなか見上げた根性である。

まぁ、今年のクリスマスプレゼントの代わりとして、一部資金提供してやろうじゃないか。


こうして嫁は、全額、人の資金をあてにしてピアノ購入を決定した。


   


さっそく銀行へ行ってお金をおろし、そのお金を握りしめて楽器店へ行く。


嫁 「これください」


待ってましたとばかりの店員の顔である。


店員 「お支払いはどうしましょう?」


私 「ぁ、現金で今払います」


驚いたような店員の顔。

そもそも、家から2分の位置にチャーハンを食べに出たのである。それも、起き抜けの適当な格好で。冬場だから多少は着込んでいるものの、これが夏場なら、ツッカケに作務衣というテンションで店に入ってきた客というわけだ。
そんな格好だから、さすがに即金で払うとは思っていなかったらしい。

店員は星の王子さまを読んだほうが良いだろう。


嫁 「わーい。 ジュリエット楽しみやなー」


   


ところで、そのピアノ資金はどこから出ているかというと、私のバイオリン基金を崩したのである。


こうして、6ヶ月にわたって計画的に積み立てられてきた私のバイオリン基金は、無計画な嫁のピアノ購入によって瓦解したのである。


また、バイオリンが遠くなったのぅ・・・。
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comment

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No title

今度こそヴァイオリンを買ったと思いきや、奥さんのピアノですか(笑)

ぷいさんのヴァイオリンとの出会いはいつになるんでしょうね?

ヴァイオリンもきっとぷいさんとの出会いを待っているでしょう。

早く出会えるといいですね^^

ぐぁ~

そういうオチだったのか、ジュリエットw
ばよりんも、とりっこみたいに運命を感じる出会いまで探し続けてくださいな
きっとぷぃぷぃはまだその運命にであってないんだろうな
よい出会いがありますように

Re: No title

あんずさん

こんにちわ~


そうなんです。まさかのピアノ購入です。

ホント・・・バイオリンとの出会いはいつになるんでしょう。

とりあえず、楽器店に出歩かないことには、出会えるハズないんですけどね(;´Д`)

Re: ぐぁ~

チワワさん


こんにちわ~
期待を裏切ったのか、大方の予想通りなのか・・・嫁のピアノが先になってしまいました。
というか、二人で楽器を始めてから買っているのは嫁の楽器ばかりだという話。

私も早く出会いたいもんです。
そして、その出会いが予算内でありますように・・・・

えっ、バヨちゃうん!?

おっと、そっちかぁ~

ま、出会ってしまったならしかたがありませんね。

新たに貯金しないとね。
しかし、「債権」とは…新鮮です(^^;;
しかも、残りは「出して」とわ。
自由ですね~

こちらのブログ、いつでも新鮮な驚きがあり…離れられません(笑)

ちなみに、私はバイオリン買うとき、自分のボーナスで買いました。小心者です。

てっきり

バヨ!?と思ったら、そっちだったんだぁ・・

ピアノの方は、いいめぐり合いが出来たようでよかったですね(*^_^*)
バイオリンの方も、そのうちいい出会いがありますよ~きっと。。
ピアノは、いつ来るんですかぁ~
ジュリエットだっけ?(笑)
ここで、お披露目してくれるんですよね!
待ってますね~

奥様おめでとう!

そりゃー奥様の楽器が先ですよね~♪
先にバイオリン買ったりしたら、おいおい!と思ってたかもしれません(笑)
家具調のピアノにされたんですねー。
30年くらい前の物なんですか?
どこのピアノなんでしょう?
それくらいの時代の国産ピアノだとしたら買い!なのでとてもいいお買い物をされた事になります(^^)
うちはデジタルピアノなので羨ましいです。
それにしても、債権て・・・おもろいー(^▽^)

Re: えっ、バヨちゃうん!?

アンダンテさん

こんばんわ~

そうなんです。こっちなんです。
出会ってしまったものは仕方がないです(笑)

そこは自由人の嫁。誰にも止めることは叶いません。


> こちらのブログ、いつでも新鮮な驚きがあり…離れられません(笑)

ありがとうございます。
ブログ村のバヨ1位常連のアンダンテさんにそう言っていただけると勇気が出ます。
しかし、我が家の日常が、人様からは「新鮮」というのもまた面白いものですね。


また、資金を貯めなきゃなぁ・・・
というか、債権をきっちり回収せねば。

Re: てっきり

koyukiさん

こんばんわ~

そうなんです。
バヨではなくピアノ。


ピアノは次の回でお披露目させてもらいますよ~

バイオリンはじっくりゆっくり探すことにします。
お金も貯め直しですから(笑)

Re: 奥様おめでとう!

ぴっぴさん

こんばんわ~

嫁の楽器ばかり優先されている我が家であります。
笛5本にピアノ一台。
バヨはいつになることやら・・・。

ピアノはYAMAHAの30年くらい前のモデルです。
直感的に「これは買いだな」と思ったんですが、間違いなかったみたいでよかったです。
状態もこれが中古ピアノだとは信じられないくらい外も中も綺麗で、音もよれてません。

デジタルピアノも考えたのですが、タッチがまともなデジタルピアノを買おうとすると、中古のアップライトより高くなってしまうので、コストパフォーマンス的にアップライトにしました。夜にしか家にいないことが多い我が家では、練習のことを考えればデジタルピアノの方が良いんですけどね~。


嫁から債権はきっちり回収しますよ~(笑)
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プロフィール

ぷぃぷぃ 虫

Author:ぷぃぷぃ 虫
酒飲み三十路男。
ふと思いつきでバイオリンを初めてしまう。合唱歴は10年超えだが楽器は素人。
ひょんな事からヴィオラも初め「させられる」。レイトスターターながらスイッチプレーヤーを目指すことに・・・

職業 SE。やぎ座のA型。

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