スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

調教

年が明けてすぐ、最初の土曜日。
今日はジュリエットの調教日・・・もとい、先日購入したピアノの調律の日である。


こんな日に限って寝坊をするのはお決まりのパターンである。
しかも、この日は、ピアノが来た日よりも寝坊の程度が酷い。


ピンポーン。ピンポーンピンポーン


ガバッ!!


嫁 「やべっ! 調律来た!」


調律師の鳴らすインターホンの音で目を覚ました嫁と、嫁の起きる音で目を覚ます旦那。
どうやら、我々とジュリエットとの付き合い方は基本グダグダ路線で確定のようである。

最低限の着替えをしたのかどうかも定かではないが、嫁が降りて行って対応する。


私はもう少しダラダラしていたかったが、やっぱり調律しているところを見たくなり、やはり適当に着替えて降りていった。


   


私 「おはようございますー」


調律師 「ぁ、おはようございます。 おじゃましてます。」


調律師は美人なお姉さんだった。


― ぇ? 女の人?


勝手な偏見であるが、私にとって調律師は『ひょろっとしたオッサン』というイメージなのだ。昔々にピアノを習っていたころ、ウチに来ていた調律師もそうだったし、学生時代にサークルの部屋にあるピアノを調律してくれていたのもそんな感じのオッサンだった。
そんなイメージを持っているものだから、女性というだけで驚いてしまった。


どうやら、嫁も同じようなことを思っていたらしい。オッサンが来ると思っていたところに、予想外の美人女性が来訪したことでテンションが上がった嫁。調律師にさっそく絡んでいた。『なぜピアノを買ったのか』や『旦那はバイオリンをやっていること』などなど、聞かれてもいないことをべらべらと話している。


嫁の話に乗りながらもテキパキと作業する調律師のお姉さん。
みるみる内にピアノの内部構造があらわになる。普段あまり目にすることのないピアノの内部である。見ているだけで楽しい。


調律師 「では、調律していきますが・・・」


調律師 「旦那様はバイオリンをなさっているということですがー」


『旦那様がバイオリンをなさっている』と言うところだけ切り取ると、ものすごい名家の会話のようである。


調律師 「調律はどうしておきましょう?」


私 「442Hzにして欲しいかどうかということですか?」


調律師 「はい、そういうご家庭では442を望まれる事も多いので」


特に理由がなければ家庭に置いてある様なピアノは440Hzで調律されるのが常である。
というより、そもそも国際標準ではラは440Hzと1939年に定められ、それから変わっていないはずである。それが、バイオリンではどういうわけか442Hzで合わせることが多いようなのである。何年か前に、クラリネットを吹ける友人が「最近は管弦楽界隈は高めが流行ってて、442Hzで合わせる」などと言っていたのを記憶している。バロック時代にはもっと高かったらしいという話も聞くし、結局流行り廃りのものなのではなかろうかと思う。


私 「ぁ、440でいいですよ」


調律師 「いいんですか?」


私 「いいですいいです。初心者のくせに『442でお願いします』って何かイキッテルみたいで・・・」


イキッテルというのは、大阪ではよく使う言葉なのだが、全国的にはどうなのだろうか。
格好を付けているとか調子にのっているとかそういうニュアンスの言葉である。

私はまだバイオリンを初めて半年程度の身。正直、440Hzと442Hzの聞き分けなど出来ない。同時に鳴っていれば違うということ位は判らないでもないが、『バイオリンをなさっている』というレベルではないのだから、わざわざバイオリンに合わせてもらう必要はない。ここは国際標準で合わせておいてもらおう。


嫁 「『君、442でやってくれたまえ』って感じやろ?」


『伯爵のようなモノ』らしきモノマネをする嫁。


私 「そうそう」



   


そして、440Hzでの調律が始まった。

耳だけを頼りにピアノの調律を合わせていくお姉さん。4弦しかないバイオリンの調弦だけでもヒィヒィ言っている私からして、88弦もあるピアノの調律など気が遠くなるような話である。しかも、完全3度や完全5度などの耳で聴きやすい幅ではなく、平均律。「よくハモる」ところからわざわざズラすような調律をする必要があるのだ。


二人して無言で、息を潜めるようにして調律師の所作を眺める。
コトリとも音を立てはいけないように思っているのである。


調律師 「見てて楽しいですか?」


あまりにマジマジと見つめていたからだろう。苦笑しながら照れるようにそう言う調律師のお姉さん。


嫁 「楽しいですー」


― お前・・・本当に楽しそうだな。


結局、調律が終わるまでの1時間ほど、夫婦ふたりして飽きること無く最後まで眺めていた。


   


調律師 「終わりました。何か弾いてみられますか?」


嫁 「いえいえ~。全然弾けないんで!」


私 「調律師さんに弾いてもらったら?」


嫁 「ぁ そうですね!」


弾けない我々では奏でられないジュリエットの歌声を聞くチャンスだ。


調律師 「私もあんまり弾けないんですよー。 旦那様、いかがですか?」


私 「無理です」


こうして、たらい回しの結果、誰も弾かず終い。
ジュリエットの本気の歌声を聴ける日はいつになるのだろうか。


私 「調律師ってピアノ弾ける人がなるもんじゃ無いんですか?」


調律師 「うーん。全く弾けない人もいますよ」


私 「マジですか! どうやって音とか・・・」


調律師 「ひたすら訓練ですねー。養成学校があるので、毎日毎日聞きわける練習です。」


ピアノを全く弾けない人が訓練で調律師になれるという事も驚きだが、それよりもまず、ピアノを弾かない人がなぜ調律師になろうと思ったかの方が不思議である。


それから、少しピアノの日常メンテナンスや気をつけること等のアドバイスくれ、美人な調律師のお姉さんは帰っていった。


   


嫁 「次もあの人が来てくれるんかなー?」


どうやら嫁は、調律師の事も気に入ったご様子である。
スポンサーサイト

comment

Secret

調律師さん

私のところに昔来てた調律師さんも
ピアノ全然弾けない方でしたよ~
ピアノ弾かないのに、調律師さんになった理由、私も気になります。

lここ数年、来てもらってる調律師さんは
ピアノ弾ける方なのでいつも弾いてもらってます。
それが楽しみでもあります~

No title

運命の人、ジュリエット
なんてお出迎えのさびしいことよ(笑)
イキってる、いちびってる、って同義語ですかね?
あたしは人生のほとんどを関西圏で暮らしているのに、家族言葉は道産子訛りのまじった古~い江戸言葉w
なかなか実用化しておりません

とりっこ、調律師のおねぃさん気に入ったか!
やっぱりとりっこの中に飼ってる小さなオッサン、日々成長してるみたいだねー

Re: 調律師さん

koyukiさん

こんにちわ~
やっぱり、ピアノ弾けない調律師さん結構いてはるんですね~
理由、気になりますよね~

今回来てもらったお姉さんは「あんまり弾けない」と言いながら、ちょっとだけ和音を鳴らしてました。その手つきが弾ける人の動きだったので、照れているのか初対面の人を前に弾くのが嫌なのか・・・ではないかと勝手に思っています。2~3回来てもらってる内に弾いてくれるようにならないかなぁ・・・。

だれか、弾ける人弾きに来てくれないかなぁ・・・。
koyukiさんいかがですか?(笑)

Re: No title

チワワさん

こんにちわ~

我が家のロミオはぐうたらなもので・・・(笑)
嫁の中に棲んでいるおっさんはグイグイ育ってます。

『イキってる』は、恐らくは『いきがってる』が縮まったものだと思います。
『背伸びして粋な風を装っている』とでも言いましょうか。

関西でも、地域と世代によっては『イキってる』と同じニュアンスを表現するのに『いちびってる』を使用することもあります。ただ、我々の地域では「イキってる」と「いちびってる」は若干ニュアンスが違います。

『イキってる』には善悪の概念がなく、単に「背伸び行為」をしている様を風刺するものです。
それに対して『いちびってる』は、やっている本人がある程度『悪い事をしている』と自覚している場合に使用されます。


煙草を例に取りましょう。


中学生が人目もはばからず煙草を吹かしている様は、『いちびってる』。
成人式を向かえたての「いかにも」新成人が 似合いもしないパイプで煙草を吹かしていたら、『イキってる』。

なので、いたずらが過ぎて調子にのっている子供に対して、「いちびったらアカンで!!」という怒り方をしますが、「イキってたらアカンで」とは言いません。


ちなみに、『イキってる』と『いちびってる』の両方意味で使える『チョケる』という言葉もあったります。こちらはもっとニュアンスの説明が難しいですが・・・。
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
プロフィール

ぷぃぷぃ 虫

Author:ぷぃぷぃ 虫
酒飲み三十路男。
ふと思いつきでバイオリンを初めてしまう。合唱歴は10年超えだが楽器は素人。
ひょんな事からヴィオラも初め「させられる」。レイトスターターながらスイッチプレーヤーを目指すことに・・・

職業 SE。やぎ座のA型。

バイオリン歴
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
RSSリンクの表示
最新記事
アクセスカウンター
ブログランキング
ランキングに参加しています
ポチッ!と応援お願いします

にほんブログ村 クラシックブログ ヴァイオリンへ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ

リンク
バヨ友
バヨブロ友達
検索フォーム
QRコード
QR
レンタルサーバー
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。