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里子アンサンブル(03)-歩み寄り-

まずは、Fさんと鋼のかっぱえびせんさんの二人が指名される。


― ふぅ・・・先じゃなくてよかったぜ


しかし、ほっと胸をなで下ろしたのもつかの間、前半部を弾き終えたところで橋田先生は弾いた二人にではなく、ぼんやり見物していた我々に向かってこう言った。


「じゃあ、感想を聞いてみましょうか」


まさか見物側に矛先が向くとは思っていなかった私は激しく動揺した。

まずはリーダーにということでrauloopさんに意見が求められる。
このとき私は「自分が何を述べるか」を必死で考えていたため、rauloopさんがどのような感想を述べたのかを全く覚えていない。

rauloopさんの意見を聞いたところで、今度は演奏した側の二人に向き直る橋田先生


「"ます"というのは魚なんですね。それで、こう、ピューッと動くわけなんですが、それを表現するにはどうしたらいいと思いますか?」


なんという無茶ぶり。
つい先程初見で弾いたばかりなのだ。演奏したお二人には失礼だが、正直、今のところ「とりあえず最後まで弾き切る」というだけでも割りと精一杯くらいなのではなかろうか。その証拠にというか、案の定、『そんなこと言われましても顔』で二人は狼狽している。


しかし、容赦なく求められる意見。


Fさん 「え・・・っと・・・気持・・・とかそういうのですか?」


音楽としては別におかしなことは言っていないのだが、なんとなく場が和む。


橋田先生 「気持はすごく大事です。ですが、それだけでは伝わらないので、テクニック的にはどうしたらいいでしょう?」


追い込む橋田先生
しかし、それ以上は意見が出てこないので今度は鋼のかっぱえびせんさんに意見が求められた。


鋼さん 「早く動かすとかですかね?」


そう言いながら、弓を早く動かす動作をする鋼のかっぱえびせんさん。


橋田先生 「それも一つですね」


今度は正解なのだろうか。


橋田先生 「でも、魚は早く動くといっても縦には動きませんよね?」


そう言いながら、上下に手を素早く動かす橋田先生
最初私は「魚はむしろ縦にしか動かんだろう」とか思ったのだが、魚は鉛直方向には移動が出来ないということが言いたかったのだと手の動きを見て気付いた。

工学分野の出身である坂本先生であればこういう「空間関係を表現する」言葉がやたらと工学的・数学的に正しかったりするのだ。やはり女性的というか感覚的な表現をするんだなぁ・・・と妙なところで先生間での指導の違いを感じたりした。


橋田先生 「だからもっと横の動きが良いかもしれませんね」


そして、そのあたりを考えてもう一度弾いてみましょうとなった。


― おぉ!感想を言うコーナーがうやむやになった


橋田先生 「次はぷぃぷぃ虫さんにも感想を言ってもらいますからね」


逃げられはしないらしい。


そして、二人が弾き終わるときっちりと感想を求められる。


Kさん 「3連符はスラーの方が良いと思いました。」


さすがというか、バイオリンを弾いている人らしいちゃんとした意見である。私は人が弓を返すタイミングなど見ても無かった。

いよいよ私の番。


私 「え・・・と、萎縮してしまって弓が遅いというか、魚の速い感が出てなかったので、たっぷり弓使ったほうが良いかなぁ・・・と」


"緊張しぃ"の私が人に向かって「萎縮してしまって」などとよく言えたものである。

しかし、グループレッスンにおいて、この「意見を求められるかもしれない」という緊張感は良い。
人が弾いている間も決して気を抜いてはいられないのである。





選手交代。
rauloopさん、Kさん、私の3人で後半部。

後半部はバイオリンが3パートに別れているので、一人1パートである。


しかし、先程の二人の時とは異なり、すぐに合わせては見なかった。


橋田先生 「まずはこのラミソミだけを3人で合わせてみましょう」


前述した『基本パターン』でラミソミ音形を3人で合わせてみるというもの。
どうやら橋田先生のグループレッスンは「同じ練習パターン」を全員に繰り返すのではなく、「見てたからもうわかってるよね」の精神で後になるほど少しずつハードルが上がっていくシステムらしい。


まずはその『基本パターン』だけを3人で合わせてみた後、同じパターンを一人ひとり弾かされてその違いを比べられる。


橋田先生 「3人のを聞いてみてどうですか?」


聞いていたFさんが感想を求められる。


Fさん 「ぷぃぷぃ虫さんが・・・」


― ぇ?俺? なんかとちったかなぁ


rauloopさんもKさんも私の倍近いバイオリン歴なのである。私だけがおかしな弾き方をしているということは十分にありえる。


Fさん 「なんか迫力ありますよね


― 来た・・・またこのパターンだ。


何故か分からないが、私は音楽をやっていると楽器や分野に関わらず必ずこのようなことを言われるのである。
音がデカイというか、音の存在感というかそういうモノが何故か強いらしい。もちろん合唱でも「声でかい」とか「お前しか聞こえない」などと日常的に言われる。声が大きいのは生まれつきだから仕方がないとしても、ピアノでも同じことを言われるのだ。私はピアノはバイエルを終わってちょっと行ったくらいなので、大して弾けない。いわゆる「個性」が出てくるレベルには程遠いのであるが、大学生の頃にピアノが置いてある部屋で私が一人で鍵盤を叩いていると、後で「さっきお前弾いてたよな?」とよく言われた。


それと同じことを今、バイオリンで言われているのである。


私 「あぁ・・・アレでしょ? "ます"、メッチャデカイみたいな・・・筋肉質なんでしょ?」


一同、筋肉質のデカイ"ます"を想像しただろうか、一気に笑いの空気になってしまった。


橋田先生 「坂本先生からは『期待の新人』と聞いていたんですが、それがよく解りますね」


何が解ったのだろうか。
『期待の新人』らしい音とは、どんな音なのだろう。


そして、今回がレッスン初回なのに全く周りと変わないレベルを要求されておかしいと思っていたが、あらかじめ坂本先生がガッツリとハードルを上げておいてくれたという訳である。


ここで橋田先生の解説。


「こうして、3人で弾いただけでもそれぞれに個性がありますよね。バイオリンは普段はソロ楽器ですからそれで良いのですが、こうして伴奏を弾くときはお互いの歩み寄りが必要ですね」


そして、『基本パターン』を3人全員が特定の誰かの弾き方に合わせて弾くという練習のやり方をとることになった。つまり、3人全員が私の弾き方で弾いたり、3人全員がrauloopさんの弾き方で弾いたりするというわけである。





橋田先生 「じゃあ、まずはぷぃぷぃ虫さんの弾き方で行きましょうか」


筋肉質な"ます"の群れ。


私の弾き方はラミソミ全てで弓を返している。そして、ラとミは開放弦。
もちろんレガートを意識しているが軽快な感じを出したいので流れよりリズム重視にし、最後は歯切れよく短めの音価にしている・・・と言えば聞こえが良いが、ぶっちゃけそれが一番簡単な弾き方だからである。


全員でその弾き方をする。
一番簡単な弾き方なので音もリズムも弾き方もかなり「パシッ」と合った。
上位の者が下位の者の弾き方に合わせるのは容易なのである。





橋田先生 「じゃあ、次はrauloopさんの弾き方で」


下位の者が上位の者に合わせるのは簡単ではない。

rauloopさんは先程全体的に柔らかい弾き方をしていた。私と真逆ですべての音をスラーでつないでいたように思う。流れ重視で主旋律を邪魔しない弾き方と言えるだろう。


一度弾いてみるが少しバラつく。
そして、バラついているのは多分私が原因だろう。


橋田先生 「Kさん。どういうところに気をつけて歩み寄ろうとしましたか?」


Kさん 「全部スラーなのと、あと、3rdポジションだったので・・・」


― なんと、ポジションが違ったのか。


橋田先生 「じゃあ、rauloopさんの弾き方でもう一度一人ずつ弾いてみましょう」


つまり、rauloopさんの弾き方がこの場合の理想型に最も近いから皆で練習しましょうということなのだろう。


まずは、お手本。rauloopさん。


Kさんの指摘の通り。3rdポジション・・・と言いたいところだが、私は3rdポジションを習っていない。「上の方」を使っている・・・と思った、というのが正確なところである。


― ほぅほぅ。コレが3rdポジションといふものかね


家で適当に遊び弾きをしているときに、「1ポジでは高音が足りないとき」に適当にやっていたのがどうやら3rdポジションというヤツらしい。勝手に習ってないところを使って遊んでいるなど、坂本先生にバレたら怒られるかも知れないが・・・。


そして、私の番。


― 3rdポジション習ってないんよなぁ・・・


運指がよくわからないので、一瞬考えてから弾いてみる。
しかし、左手だけに気が行ってボウイングが崩壊。


橋田先生 「もう一回」


今度は上手く行った。
初3rdポジション。


そして、全員がrauloopさんの弾き方で合わせてみる。

今度は全員が3rdポジションのため、弾き方とリズムはともかくピッチが完全には揃わないが、そこはご愛嬌。許容範囲ということで次に進む。





橋田先生 「じゃあ、Kさんの弾き方で行きましょう」


Kさんは3連符ラミソまでがスラーで一弓。そして、最後のミで弓を返すという弾き方。ポジションは1stポジションである。いわば私とrauloopさんの間に位置する弾き方。

前半スラーで最後だけ返しがあるため、流してアンサンブルで聞いてみると恐らく最後のミが「立って」良い感じで裏拍のリズムが効いてくるに違いない。

橋田先生からは、上記の弾き方に加えてさらに3連符の真ん中の音を大切に弾いているという指摘がなされた。


こちらも皆で弾き、一人ひとり弾くというスタイルで進行した。





最終的には「rauloopさんかKさんのような方向で歩み寄っていきましょう」という、柔らかく言いながらも結局は「ぷぃぷぃの弾き方は伴奏としてはうるさいよ」という結論を言い渡され、"ます"の伴奏バイオリンの方向性が決められた。


この後、ピアノ・フルートを含め全体で何度か弾き、バリエーションⅠは終了となった。


橋田先生 「よかったですよー」


確かに一番最初に比べればずいぶんとマシになったと思えるが、私自身は『移行パターン』では相変わらず落ちに落ち、終いには「そこをあきらめて」次の『基本パターン』で復活するのが上手くなった。


続く。
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comment

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No title

うわあ。。めっちゃ心臓に悪いですね。
アンサンブルで一人で弾かされてみる、というのは
本当に怖い。。
私なんか緊張して「ちょうちょ」でも音外しますから。。。
それにしても、「期待の新人」なんて、凄いですね。
羨ましいです~。

Re: No title

りょうさん

こんにちわ~

アンサンブルで一人弾かされるのはホント「公開処刑」ですよね(笑)

「期待はずれの新人」にならないようにしたいものです(;´Д`)
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プロフィール

ぷぃぷぃ 虫

Author:ぷぃぷぃ 虫
酒飲み三十路男。
ふと思いつきでバイオリンを初めてしまう。合唱歴は10年超えだが楽器は素人。
ひょんな事からヴィオラも初め「させられる」。レイトスターターながらスイッチプレーヤーを目指すことに・・・

職業 SE。やぎ座のA型。

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