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W解禁 -転機-

私が、「発表会には出ない」という、考えを改めるきっかけとなったのは「合奏への参加」である。


だが、そうは言っても、


「合奏が楽しかったから、発表会に参加しちゃうよ~」


・・・とか、そう云う単純なノリによるものではない。

合奏は確かに楽しかったが、事前に予想した通りかなり"しんどかった"のである。
人間、三十路にもなると「楽しいから」というだけの理由で物事に関わるとエラい目に合うということを学習している。


さて、では何故、発表会に出ようという気が起きて来たかという理由を、ものすごく端折って言うと「しんどかったから」である。



― ドMかよ!!



   


基礎練習に関してはドMであることをあまり否定しないが、もう少し具体的に説明しよう。


既に紹介したように、合奏の課題曲は私にとってずいぶんと「タフ」な楽譜であった。正直、自分のレベルを完全に超えていたため、途中で「こんなにしんどいなら、今度からは出ないでおこう」と思っていたほど、練習が大変だった。


しかし、合奏の本番が終わってからしばらくした頃、ふと有ることに気づいたのである。


それは、いつものようにバイオリンを出してウォーミングアップをしていた時の事であった。
私はその時々で、ウォーミングアップの最後に毎日のように弾く曲というのがある。


あれ?楽譜がないと弾けない?


毎日弾いているその曲。たまたまこの日は楽譜を開いていなかった。
そう、「毎日弾いているはずの曲が、楽譜がないと弾けない」という事に気付いたのである。
「当たり前やろ!」という声が聞こえてきそうであるが、私には非常に新しい感覚だった。

そして、これは、「物忘れが激しい」とか、「物覚えが悪い」とか言うマイナスの意識ではなく、私にとって「非常に嬉しい事」なのである。


   


もともと、私にとって楽器で曲が弾けるということは、「暗譜している」という事に等しいことであった。そして、楽譜を覚えているのは基本的に「手」であって、音符を頭で覚えているというわけではない。
頭の中にはメロディのイメージだけがあって、演奏は手が勝手に動いているのである。

例えば、ピアノで弾けるようになった曲というのは、指の動きを手が完全に覚えた曲のことである。したがって、長期間弾かないと手が忘れて弾けなくなるのだが、その場合、楽譜をみてもさっぱり弾けない。

リコーダーなどにしても同じである。
指の動きをまるごと一曲分ほとんど完全に手が覚えている状態でないと、弾くことが出来ない。


よって私にとっては 「楽譜があっても弾けない」 か 「楽譜がなくても弾ける」 のどちらかしか無いのである。


そこに 「楽譜があったら弾ける」 が追加されようとしている。
この曲は「弾ける」けど「楽譜がないと弾けない」というのは非常に新しい感覚なのである。


   


この「楽譜をあったら弾ける」という「能力」は楽器をやる上で非常に重要だと私は考えている。

上記のように「『楽譜がなくても弾ける』しかできない」状態というのは「その一曲だけが弾ける」のであって、楽器の実力としてその曲が弾けるわけではない。本来、腕的には弾けない曲なのだが、無理やり刷り込み練習で指に動きを覚えこませることで、一時的に音が並べられるようになっているだけに過ぎない。


趣味で独学でピアノをやってます・・・とか言う場合に陥る罠がここにある。
本屋などの楽譜コーナーに行くと「始めてでも簡単!あこがれのあの曲が弾ける!」とか「階名付き!CD付き!」とかそう云う「殺し文句」で、入門レベルですらない人向けに楽譜が置いてある。

私も中学生くらいの時にそういう楽譜を買ってピアノを練習した経験がある。
なるほど、確かにその本を半年くらい練習していると、「月光」とか「子犬のワルツ」とか『それっぽい』クラシック曲が「一曲だけ」弾けるようになる。だが、同じ本に収録されている同じレベルであるはずの他の曲は全く弾けない。
その「一曲」だけが「弾けた気」になるだけで、実はピアノは全く弾けるようになっていないのである。

そして、ちょっと弾かないでいると弾けていた曲も全く弾けなくなる。
新しく曲を覚えるのも大変である。前から順番に刷り込み練習をしていくしかないので、ハマると1小節進むのに数時間かかったりする。そして、そういう方法で曲を覚えると、途中で止まると「最初から」でないと弾けないとか云うことになる。


これでは、いつまでたってもレパートリーは増えない。
「今、毎日弾いている一曲だけ弾ます」などという人を差して、ピアノが弾ける人とは言わない。


   


さらに、私の場合、合唱との関わりが「楽譜の立ち位置」を微妙なものにしている。
アマチュアの合唱における楽譜の立ち位置は、楽器の世界におけるそれとは若干異なる。

もちろん、此処に書くことは私の主観であって、全ての合唱人がそうだというわけではないので悪しからず。


歌の世界に置いて、特にアマチュアでは、自分が出している音と音符が結びついている人は少ない。
長年合唱をやってるけど「楽譜は読めない」という人は少なくない。


その最たる例として、合唱の世界で有名な作曲家の中には、楽譜が書けないどころか読めない人すらいる。また、歌謡界で「神様」のような存在である美空ひばりは楽譜が読めなかったという。松田聖子も楽譜が読めないらしい。

彼女たちはデモテープから音を取っており、楽譜は不要なのである。
ちなみに、ふたりとも「一回」聞いたら歌詞も含めてほぼ完璧に、しかも「デモテープで歌っている人より上手く」歌えるようになってしまうというから驚異的である。

楽譜が読めるかどうかは音楽的な実力と全く関連しない。

耳コピで上手けりゃそれでOK

歌とはそういう世界なのである。


合唱もその例にもれず、殆どの人は「耳コピ」なのであって、楽譜から音を拾ってはいない・・・と思う。少なくとも私はそうである。


「楽譜見てるやん」と思われるかもしれないが、あれは楽譜を「読んで」歌っているのではなく、「見て」歌っているのである。多くの場合、「なんとなくの入りのタイミング」と「歌詞」を思い出すためのツールくらいの立ち位置で使われている。

実際、大学時代の合唱団の練習で「楽譜にかじりついて」指揮を見ないメンバーへの対策として、「前に歌詞を貼る」という練習をやったことがある。そして、それで全く問題なく歌えた。歌詞と指揮による入りの指示があれば、それで歌えてしまうのである。よって、ほとんどのメンバーは「音符など見ていない」という訳である。


例えばバイオリンを弾く時なら、明確に調を意識しておかないと、弾けない。

だが、歌は違う。最初の音さえ鳴らしてくれたら、「音符」の意識はいらない。
同じ音型で調を変えてしまうのは簡単である・・・というか、出だしの音が違ってても気付かない。

バイオリンでいきなり「半音下げて弾いてね」と言われるとかなり上級者でないと対応できないが、カラオケで「キー1個下げる」のは誰でもやっている事である。


音型は「覚えている」のであって、見て歌っていない。
音はどうやって取るのかというと、鍵盤を弾いてもらって音の動きだけを覚えるのである。


そういう意味で、合唱における演奏は、語弊は一杯あるだろうが、カラオケにおけるそれと根本的に差はない。


   


さて、バイオリンに話を戻そう。

私はつい最近までバイオリンでも、同じ曲をひたすら何度も弾くという刷り込み練習で課題曲を弾けるようになってきた。よって、レッスン中に「ここから弾いてください」とかで途中から弾かされると、実はずいぶん動揺していたのである。

楽譜は「見ているようで、実は、あまりしっかり見ていない」という状態だったと思う。


しかし、だんだんとそれに限界が来ていた。
だんだんと長くなってくる課題曲。そして、増えていく曲数。


そこに合奏の課題曲である。


合奏の楽譜は、長すぎた。
刷り込み練習で手に動きを完全に覚えこませるには、練習時間が足りなさすぎる。
結果として、「楽譜を見ながら弾く以外に道はない」という状況になった。


そして、「本番」という期日が決まっている「合奏」という点がポイントである。
これが、個人レッスンの課題曲が「単に長いだけ」というのであれば、ゆっくり数ヶ月かけて練習しようと私はする。だが、期限が先に決まっており、「弾けないと周りに迷惑」という状況。

それが、パラダイムシフトをもたらす。



その結果が


楽譜がないと弾けない


なのである。


   


驚いた私は、バイオリン歴3ヶ月の頃に購入した「ジブリ曲集」を引っ張り出してきた。
「刷り込み」で一曲だけでも・・・と思って購入したものの、全く話にならず完全に放置していた楽譜。

それを「最初のページから」順番に弾いてみる。


読める! 読めるぞ!


もちろん、まっとうに弾けているわけではない。
間違えたり、とちったりしながらだが、それでも「止まらずに」音を並べていくことができる。

全くの初見というわけではない、ジブリなので曲を知っているから弾けるのだろう。
しかし、ほんの7ヶ月前、数小節進行するのに1時間以上もかけて撃沈した楽譜が、曲がりなりにも無練習の初見で弾けるようになっている。


結局1冊まるまる弾き切ってしまうほどにテンションが上がった私は、考えを改めるに至った。



楽器が弾けるようになるためには「発表会が不可欠」だ。


人前で弾くというプレッシャー。

期限があり、それまでに弾けるようにならなければならないというプレッシャー。


それが、発想を変えさせる。練習の方法を工夫させる。脳を活性化させる。


単なる自己練習の積み上げだけでは超えられない壁があるのだ。

「今の延長」だけでは上手くならない。

時として「階段」を上がらなければならない。


発表会とはその為の場なのである。


よし、今度から発表会に出よう。


そう決めた。
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暗譜とは読んで字のごとし

なーるほど。そんなわけがあったのですね。向上心の鑑ですね。
ここで、プロフェッショナルの暗譜というものを説明いたしますと・・・。
当然、刷り込みとか手癖によって憶えていくものではなくて、例えば、電車の移動中に初見の楽譜を読み込んでおいて、現場に着いたらすぐに弾けるというレベルです。
指揮者の飯森範親さんは大学時代に友達の遊びの誘いにも乗らず、図書館に通い詰めて、膨大な量のオーケストラのスコアを暗譜したそうです。いつでもどの曲のどのパートでも書けと言われれば書くことが出来るのだそうです。
それくらい完璧に頭に入っていないと、音が聴こえて来ないということです。
楽譜が映像のように頭に入っていて、それを見ながら弾けばいいと言ったピアニストもいました。
彼らの頭の中はいったいどうなっているんだ!というレベルですよね。こちとら自分のケータイの番号ですら、たまにあやしくなるというのに(涙)。

はじめまして

今日初めて読ませていただきました。
わたしも途中から弾けませんでした。今の曲の前までは。
最初から最後まで通して覚えているので途中で止められて
「はい、ここから弾いて」って先生から言われると頭が真っ白になり
音符をジーーーっと見つめても弾き出せませんでしたよ。
「解るところからでいいわよ」と言われても解る所は頭からなんだけどなーでした。
あとは次の曲に入ると前の曲は楽譜を見ても全くと言ってよいほど弾けませんでしたよ。なんででしょ。
今はうまく弾けないところをそこだけ何度も繰り返して練習してるので
そこを指して「じゃ、ここから」と言われたらそこからは弾けます。
だからそこ以外はやっぱり駄目かも。
ぷぃぷぃ虫さん、発表会出ますか!? わたしは今年10月が生まれて初めての発表会ですよ。

Re: 暗譜とは読んで字のごとし

ジャッキーさん

こんにちわー
週末から歯痛で唸っていて返信が遅くなりました(;´Д`)
いつも、ご丁寧なコメントをいただきありがとうございます。

プロフェッショナルの暗譜とはすごいものなのですねぇ・・・・。
私は、楽譜でなくても電車の中で目にしたものなんて、99%は降りる頃には覚えてませんね(笑)

たしかに、高校生くらいのころは短期間であれば教科書を丸暗記とかできましたけどねぇ・・・三十路を超えると・・・いやはや。

Re: はじめまして

エメラルドさん


はじめまして。
ブログを読んでいただきありがとうございます。


繰り返し練習とか、通し練習をやっていると、特定の部分からしか弾けませんよね・・・^^;
我々にとって楽譜はそのまま音楽になるものではないから・・・だと私は思っています。所詮は楽譜を見ながら弾いているのではなくて、弾いたのを覚えているだけだからなんじゃないかと。
だから、他の曲に行って戻ってくると「ちょっと忘れてる」から弾けなくなる。
・・・私も全く同じです。

私はゆっくりでもいいから、教本の中の「弾いたこと無い曲」とか「だいぶ前にやって忘れてる曲」とかを、頭から1回きりしか弾かない・・・というトレーニングをやって多少は改善しました。合奏のレッスンとかだと、自分が弾き始められる場所かどうかなんてまったく考慮されることなく、「じゃあ次ここから」とかなりますので、そういう環境に身を置いてみるのも一興。

私も、発表会出ますよ~。
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プロフィール

ぷぃぷぃ 虫

Author:ぷぃぷぃ 虫
酒飲み三十路男。
ふと思いつきでバイオリンを初めてしまう。合唱歴は10年超えだが楽器は素人。
ひょんな事からヴィオラも初め「させられる」。レイトスターターながらスイッチプレーヤーを目指すことに・・・

職業 SE。やぎ座のA型。

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