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ゲネプロ

発表会まで後一週間となった。

自他共に認める『緊張しい』の私である。
どれくらいの緊迫感の中に身を置いているかは、ブログの更新頻度でお察しいただけるだろう。

そんな中、二日ほど前の土曜日に『本番に近い緊張感の中で本番曲を弾く』という教室主宰のイベントがあった。本番を前に先に緊張に慣らしておきましょうね・・・という分かりやすいコンセプトのイベントである。


このイベント、本当は『弾き合い会』という名前なのだが、私は勝手に『ゲネ』だと思って臨んでいた。

ゲネプロ、略してゲネ・・・とは、本来の舞台用語では最終リハーサルの事を指す。オペラなどで言えば、公開日の前日等に本番の舞台を使って本番の衣装を着て通し稽古をすることを指す。英語圏ではドレスリハーサルとか云うらしいが、日本の現場ではゲネとかゲネプロと言うのが普通となっている。

要するにリハーサルの事なのだが、そもそも日本独自の業界用語であり、さらに業界ごとやプロ・アマにより微妙に意味合いや目的が異なっているらしく曖昧な言葉となっている。ともかく、稽古の集大成として『練習日程の最後の方に全体を通して本番ぽっくやる練習』らしきものを指してゲネと呼ぶ。

私がかつて所属していた大学の合唱団では本番当日に舞台の上で「リハーサル」を行っていた。そして、それとは別に本番前の最後の練習で、本番さながらに最後に一回「本気で通す」行為を『ゲネ』と呼び明確に区別していた。


「なんだ・・・単にリハ前の最終練習っていう事じゃないか」


・・・と侮る事なかれ。
我々の合唱団ではこの『ゲネ』は、ある意味で『本番以上』とも言える独特の空気を持っていた。

いつの頃からか判らないが、大学の合唱団ではゲネの直前に『指揮者が団員を前にして想いを語る』ということが伝統的に行われていた。


   


最終練習の日、指揮者はゲネに必要な時間+15分ほどを残して練習を切り上げる。
普段は練習が切り上がって休憩になると騒ぐ団員たちも、この日ばかりは静まったまま待っている。

ある指揮者は指揮台の上で・・・ある指揮者は指揮台に腰掛けて・・・また、ある指揮者はゆったりと歩きながら・・・団員に語りかける。指揮者としての想いや、曲に対する想いや、団や団員に対する想いを語るのである。


1年生は初めて迎える自分たちだけのステージを前に希望と緊張に溢れている。

2年生は初めて「先輩」として合唱団を過ごした一年の集大成。

3年生は団の要。団の全てを切り盛りしてきた1年間の最終練習。

そして、4年生。「このゲネ」が学生時代最後の練習となる。


それぞれに様々な想いが胸にある。
色々な想いを秘めた140の瞳を一つづつ見つめながら指揮者は語る。

演奏会に向けた「これから」と、4年間の「これまで」を・・・。


アマチュア・・・いや、学生の合唱団だからこその空間がそこにあった。

そして、その空気のまま「ゲネ」は行われていた。


あたたかい緊張


私はあの時の空気をそう呼んでいる。

「これから」本番に向かうという気持ちと「これが最後」という気持ち。

不思議な二層系が創りだす不思議な緊張感。


私はあの空気がとてつもなく好きだった。

誰にも披露されることはないけれど、本番とは違う自分たちだけの音楽。


私にとって「ゲネ」とはそういうモノだった。


   


今回の「ゲネ」はもちろんそう云うのとは無縁であることは判っている。

ただ、「リハの前に本番さながらで・・・」と聞いたときにふと「なんかゲネっぽいな」と思い、昔に想いを馳せてみたというわけである。


あの時、上手くは無かったかもしれない。
でも、素晴らしかったと思う。

若い雑な音楽だっただろう。
でも、確かに感動がそこにあった。

プロから見たら鼻で笑われる演奏だったかもしれない。
でも、それでよかった。


私の青春だった。



何故、私は今も音楽を続けているんだろうか。
あの時の「ゲネ」のような、そう云う空気をまた味わいたいからかもしれないな・・・。


そんな事を、取り留めもなく考える夏の日の夕暮れである。


しかし、昔話をするようになるとは、私も歳なんだろうか。

きっと暑さのせいで頭がやられているに違いない。

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comment

Secret

No title

[『誰にも披露されることはないけれど、本番とは違う自分たちだけの音楽。』 いいですね~。聴衆に聴かれてこその音楽、という考えもありますが、‘音楽のための音楽’‘自己完結の音楽’(自己満足ではない) その時間はどれほど濃密なものだったでしょう。音楽はひとり完全な切れ目のない‘環’をなしていたんだと思います。仮にその場に専門家がいたとしても、いや、作曲家でさえ口を挟めない独立した完全なる環です。そんな異次元のような時間をお持ちになれたことは一生の財産ですね。

Re: No title

ジャッキーさん

こんにちわ~

なんだかすごい嬉しくなるお言葉・・・ありがとうございます。
解っていただけてすごく嬉しいです。


‘音楽のための音楽’

‘自己完結の音楽’

音楽はひとり完全な切れ目のない‘環’をなしていた


学生時代の部活動につけるには勿体無いくらいカッコイイ表現ですね。
でも、「環」って言うのはすごく納得しました。独立した環。確かにそんな感じだった様に思います。

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ぷぃぷぃ 虫

Author:ぷぃぷぃ 虫
酒飲み三十路男。
ふと思いつきでバイオリンを初めてしまう。合唱歴は10年超えだが楽器は素人。
ひょんな事からヴィオラも初め「させられる」。レイトスターターながらスイッチプレーヤーを目指すことに・・・

職業 SE。やぎ座のA型。

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