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3回目の発表会 ~悪夢再び?~

2012年5月3日。
発表会当日である。


ハッキリしない天気の中、妙にスッキリと目が覚める。


― 今日、本番や!


私は演奏会とか発表会とかそういうの日の、朝一番の気持ちが結構好きだ。

バイオリンでは未だ慣れていないが、歌では何度も感じてきたこの気持ち。
期待と不安が入り混じったようなワクワクするような感覚。


音楽に特有なのだろうか、それともスポーツなどでも同じなのだろうか。
少なくとも自分の経験としては、結婚式の時はまた少し違った感覚だったし、同じく「努力を見せる系」と言える入試などで湧いてくる感じとも違っている。

緊張とはまた違ったこそばゆいような気持ち。


その気持ちのまま、朝から最終調整で丁寧に音階をさらう。
場合によってはこの時点でそれが絶望感に変ることもあるが、この日の調子は上々。

指も弓も問題なく動いている。少なくとも平均よりは調子が上だ。
どうやら今回は調整に失敗しなかったようである。


ギリギリまでバイオリンを触ってバタバタと家を出る。


嫁 「ごはん食べる時間ないやん!」


嫁は演奏はしないが受付嬢としてスタッフ参加するので一緒に家を出る。
本来は道すがらランチをしていく予定だったのだが、私が興に乗ってバイオリンを弾いていたために、その時間が無くなってご立腹なのである。


家を出る頃は、天気雨という不思議な天気だった。


私は晴れ男。
失礼ながら先生は雨男の呼び声が高い。


その結果なのかどうかは分からないが、天気雨。
それはこれから起こる何かの象徴なのだろうか。


   


発表会はgoo-noteという海老江界隈のカフェを貸しきって行われる。1月の発表会も同じ場所だったのだが、駅からの道がややこしくて覚えていない。

時間がギリギリだったので最寄り駅からタクシーで向かうも、そのタクシーすら迷うという難易度の高さである。この日も出演者と観客の双方から大量に迷い人を生み出した。

私も少しだけ遅れて会場につき、その時にはリハーサルが既に始まっていた。


事前にあった通達によると、今弾いている女性は私の2つ前の順番である。
このあと、rauloopさんを挟んで私という順番。ゆっくりはしていられないが、何とか間に合った。


ところが、その女性の演奏が終わると、


先生 「ぷぃぷぃさんリハーサルやりましょうか?」


私 「ぇ?もう?」


間にもう一人いるんじゃないのかという、ささやかな抗議の顔を先生に向ける。


先生 「rauloopさんは先にもう済ませちゃったんです。」


俗に言う、心の準備が出来てません状態である。
急いで舞台に上がってリハーサル開始となった。


   


バタバタとした割には、リハーサルはそこそこの滑り出しだった。
指もそこそこ動くし、弓も縮こまってない。強いて言うなら問題点は集中力があまり高まっていないことぐらいだ。しかし、その部分は本番ではきっと大丈夫だろう。


― ま、こんなもんでしょうな。


しかし、少し進んだところで止められる。


先生 「――――――――――」


何を言われたのかは覚えていない。
とにかく、何らかのアドバイスをもらった事は確かだ。

先生にしてみれば最後の親心。
本番でより良い演奏をするための最後のひと押しなのである。


だが、私の心はそう捉えなかった。


本番直前にダメ出しされた


どうやら、そう受け止めてしまったらしい。
なんという豆腐メンタルであることか。


リハーサルでの失敗。

エックレスでの大事故。
あの時のリハーサルがフラッシュバックする。

背中から身体が凍りついていくのを感じた。
演奏する恐怖が心を蝕んでいく。


先生 「じゃ、ここから続けて~」


先生が続きを促す。
その「ここから・・・」すらテンパッて何度も聞き返した程である。


ここからはグチャグチャだった。


本番まで全て終了した後に、雨さんから「今だから言えますが・・・正直どうなることかと・・・」とその惨憺たる様を評された程に酷いものだった。


指がもつれ、音を間違い、音符を飛ばす。
弓は暴れ、哀れな音が鳴っている。


普通に緊張して所謂 「 真っ白で飛んじゃっている状態 」 とは違う。

脳は妙に冷静なのだ。
失敗の全てを鮮明に認識している。
鳴るはずだった音は頭にちゃんと流れている。
だが、脳からの司令を身体が全部処理してくれない。


― こんなハズじゃないのになぁ・・・


単に緊張しているのとは違う。
もっと根源的なところからの恐怖感で身体がこわばっている。
ソレをものすごく客観的に見つめている自分という不思議な時間。


― これはあれやね。トラウマって奴やね。


ぐちゃぐちゃの演奏の中、そう冷静に分析する。
緊張ではない。恐怖だ。


トラウマ。
もしもそうだとすると、変に抗って傷を広げると致命的になる。
無理に封じ込めたとしてもいつかまた上がってくる可能性がある。


あらためてエックレス大事故の傷の深さを知る。


正面から受け止めた上で克服しなければ、人前でバイオリンをいずれ弾けなくなる。
出てきた今がピンチでチャンスだ。


今日。つぶす。


深く考えたらダメ。
無理に逃げようともしない。
そういう感情として感じて受け止めて慣れる。


― とりあえず、この心理状態下で最後まで通ったら合格やな


自分に課しているハードルを限界まで下げて、達成可能なゴールポイントを作っておく。


リハーサルでの音楽的な演奏はもう捨てていい。

今は自分の内面に目を向けておこう。
身体から何が上がってきているのかを感じておこう。
それで、細かいことは本番までにどうするか考える事にして、今はトラウマ克服の為に心理的な種を蒔いておく。


― まぁ、でも、別にこれくらいでも十分いいんじゃないかね。


たとえ、本番がこれと同じだったとしても既にエックレスよりマシである。
前の自分に少しだけでも勝っている。


― だから、大丈夫。


もつれる左手と、震える右手と闘いながら、何とか最後まで通した。


先生 「どうしちゃったんですか?」


そう思うのも無理はない。
つい3日ほど前のレッスンでは、かなり音楽的に踏み込んでやっていたのだ。それが音を並べることするらギリギリなのである。



私 「なんなのでしょうねー。緊張してたのとはまた違うのですが・・・」


先生 「んー。緊張したときに失敗する感じの失敗のしかたでしたけどねー」


私 「まぁ、そういうことにしときます。」


先生 「でも、まぁまぁまぁ・・・」


― まぁ、あの時よりはマシですよね。



リハを終えてステージを降りる。

嫁が一応「ウンウン」と笑顔で迎えてくれているが、おそらくは励ましだろう。
もしくは、私の深層まで読みきった上で「エックレスより大分マシやし、いいんじゃない」という意味だったのかも知れない。


   


さて、本番までをどう過ごすか・・・それが大切である。


先程、身体から上がってきた感覚は覚えている。
対処法はいくつか思い当たるし、リハーサル中に種は蒔いた。


今はまずリラックスすることだ。


― とりあえず、喉が渇いたな・・・


ふと見ると、雨さんが隅の方でビールをあおっている。ヤケ酒だろうか。

おそらくは私と同じくリハーサルが気に食わなくて気持ちのリセットを図っているのだろう。


― いいね。そうしよう。


一度、リセットすることにしよう。
音楽は楽しんでなんぼ。


カウンターでビールを受け取りその足で雨さんの元へ向かう。


二人で乾杯。



雨さん 「やっぱり呑まないとね~」



― 本番はなるようになるさ


失敗もまた良し。



続く。
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comment

Secret

え。

わたくし そんなこと言いましたっけ?
あ 言ったかな。 言ったかも。。
そうか。。 ぷぃさんのアガりぐあい見て 伝染ったんだ。
わたくしのリハも もう惨憺たるものでしたので。
ハイ あおっとりましたともっっ
豆腐メンタルには 焼け石に水でしたが。。。。

つづき 待ってま~~す♪

No title

お二人で乾杯してたとは。
混ぜてもらえば良かった~。
うちもリハの駄目だしはありましたよ~。
緊張感高まりますよね~。

あと、あがり具合を競うの楽しいですよね。
私は、プリンメンタルにでも。

Re: え。

雨さん

こんにちわ。
正確にそのセリフだったかどうか、証明する術はありませんが、

・リハはお互いアレだったよね
・もう呑まないとやってられないよね

というニュアンスのやり取りをしたことは確かです。


雨さんは本番は詐欺かっていうくらい良い演奏だったと思いますよ。

Re: No title

rauloopさん


いやー
豆腐メンタルには本番直前ダメ出しは効き過ぎるんですよ(笑)

緊張感通り越して恐怖とか・・・もう・・・。

そして、酒の力は絶大。

No title

酒の力は 必要なときに切れますからな。

本番ダメだし 私は(たぶん)なかったんですけど あのアガり様。。
あまりのアガりっぷりに 言うたらマズいと思われたのか。。
『とにかく落ち着きなはれ』とかなんとか言われた記憶が。

アガリ具合を競う・・・
次回は お互いこれでもかっていうくらい自分を追い込んでみますか。
なんと恐ろしい チキンのチキンによるチキンにしかできないチキンレース・・・
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プロフィール

ぷぃぷぃ 虫

Author:ぷぃぷぃ 虫
酒飲み三十路男。
ふと思いつきでバイオリンを初めてしまう。合唱歴は10年超えだが楽器は素人。
ひょんな事からヴィオラも初め「させられる」。レイトスターターながらスイッチプレーヤーを目指すことに・・・

職業 SE。やぎ座のA型。

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