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4回目の発表会 04 ~ゲーム リハ~

『目がひらいている』


それは、ゲームアンサンブルのリハでも同様だった。


冷静。

しかし、楽しんでいる。


ゲームアンサンブルの方ではヴィオラパートは一人である。
バッハではパートナーが居て二人だったが、こちらでは常時ソロ状態。
しかも、今回の発表会ではゲームアンサンブルが楽譜のレベル的に段違いで難しい。
はっきり言ってバイオリンのソロ曲より圧倒的に難しい。

しかし、揺らがない。
どうやら本当に今日はヴィオラの調子が良いらしい。


ゲームアンサンブルはファイナルファンタジーやロマンシング・サガ、クロノ・トリガーといった、いわばスクエアの黄金時代の有名曲を集めて弦楽四重奏でメロディー仕立てにしたもの。お好きな人にはタマラナイ感じなのであるが、この日までは「落ちずに弾き続けるだけでもギリギリ一杯」だった。

しかし、この日に初めて投入されたチェロパートにより状況は一変した。チェロだけは仲間内から探すことができなかったため、当日だけという形でプロにお願いすることになっていたのだ。


― 思ったほど早くない


これが曲を弾き始めて直ぐに思ったことだった。


この曲のヴィオラパートは難しい。
凄まじい高速パッセージが何箇所も存在しているのだ。

やれテンポ140の16分音符高速アルペジオ、やれテンポ70の32分音符高速アルペジオ、高速パッセージの直後に続く音が取りにくいパッセージに続いてのメロディーソロ・・・などなど。はっきり言って正確にすべてを弾き切ることはバイオリンかヴィオラかに関係なく今の実力的に不可能だとすら言える。

そのため、これまでの練習では特に高速パッセージでテンポ感を見失うという事がよくあった。もちろん、怒涛の高速パッセージで指揮を眺めている余裕など無い。

しかし、この日は左隣から厳然として正確な低音パートが聴こえてきていた。
その昔ワクワクしながら聞いていたBGMのリズムが体で感じられる。

チェロを弾いているのは細っこいお姉さんである。
その細い腕からは信じられないほどのしっかりとした重低音が正確に、だが素晴らしく音楽的に生み出されている。


高揚した。


と同時に、そのリズムに乗っかって落ち着いて弾けば思っていたほど高速パッセージは「速くない」と感じた。

もちろんいきなり正確にすべてを弾けるわけではない。
だが、拍や和音にハマる音だけでもかろうじて拾いながら曲に乗っけていく。

すべての音符を完璧に弾けているわけじゃない。
でも、この楽曲を演奏するにあたって自分が担当すべき仕事が始めて見えた感じがした。

全体のリズムを感じて乗って行く、時に自分がリズムを作る、周りの弓を見る、指揮を見る・・・。
とてつもなく時間がゆっくりに感じられた。


少々トチろうが何しようが、「大丈夫」という不思議な自信が湧いてきていた。
致命的な失敗を起こすことや、まして落ちてしまう可能性など微塵も感じなかった。


これまでソロ、アンサンブルに関わらず、常に感じていた「致命的失敗」と「落下」への根源的な恐怖心。
それが、全くといって良いほど湧き上がって来なかった。

多分、私は演奏中少し微笑んでいたのでは無いだろうか。
このゲームアンサンブルの音場の中に居れることがとてつもなく楽しかった。


   


弾き終えた後、先生がチェロパートに怒涛のように指示を出していく。
そりゃそうだ。今日はじめてなのだから。

しかし、先生も15分にもおよぶ演奏で、特定パートの細かいところに対する指摘をよく最後まで覚えていられるものだと毎回感心する。

指摘の多さからして、あちこち合わせ直しをする必要がありそうだ。


― 時間もあるしもう一回通す感じかな。


そう思っていたが、その予想は全く外れていた。


先生 「どっかやりたいところあります?」


― ぇ?通さないの?


チェロ 「そうですね。じゃあ、最初だけ。」


― ぇ?あんだけ指摘あったのに、最初だけ?


そして、本当に最初だけをやり直す。
最初の部分、チェロは確かに一回目とは圧倒的に違うパフォーマンスだった。


― プロすげぇー


それ以外の感想が浮かばなかった。


先生 「じゃあ、時間余ってますけどもう大丈夫なんでこれで終わりましょうか」


そして、本当にそこだけやってリハ終わった。
まだ、時間がたっぷり残っていたのに終わった。


― ぇ?時間もあるのに?指摘一杯あったのに?いいの?それでOKなん?


だがこの後の本番で、私はプロの凄さというものを思い知ることになるのである。


   


これで、本当に本番に向けて全ての段取りが終了した。

あとは、本番をゆったりまつだけ・・・とは行かない。


今度は逆に急いでバイオリンにスイッチしなければならない。
最初にバイオリンのソロが待っているのだ。

そしてここからはメンタル、緊張との戦いである。


― 大丈夫。いける。


願うように、そう念じた。
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まとめ【4回目の発表会 04 〜】

『目がひらいている』それは、ゲームアンサンブルのリハでも同様だった。冷静。しかし、楽しんでいる。ゲ

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プロフィール

ぷぃぷぃ 虫

Author:ぷぃぷぃ 虫
酒飲み三十路男。
ふと思いつきでバイオリンを初めてしまう。合唱歴は10年超えだが楽器は素人。
ひょんな事からヴィオラも初め「させられる」。レイトスターターながらスイッチプレーヤーを目指すことに・・・

職業 SE。やぎ座のA型。

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