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遥か高み

引き続き日曜日のお話。

午前中に映画を見た後、お昼からは合唱の演奏会。
大学の後輩指揮者が率いる合唱団を含め4つの女声合唱団によるジョイントコンサート。


各団体が順番に歌っていき、最後のステージは全団体が合同で歌うという良くあるパターン。

今回はこの合同ステージに趣向が凝らしてあり、1曲ごとに各団体の指揮者が振るという面白い試み。しかし、このやり方、指揮者を経験したものとしては、ある意味残酷なステージであると言える。

なぜなら、指揮者としての実力が丸裸になるからである。
全く同じ合唱団を同じステージ上で指揮者だけを変えて歌ってその音楽に差がある場合、その差は完全に指揮者の能力差という事になる。したがって、能力が逼迫している場合は面白いステージということになるが、差がある場合は残酷なステージとなる。

4団体のうち2団体は日本を代表する女性合唱指揮者のひとりである飯沼京子先生が率いる合唱団。飯沼先生は合唱コンクールでは審査員を勤めたりする立場であり、言ってみればプロの合唱指揮者である。
後輩指揮者はこの飯沼先生が率いる別の合唱団に入っていたこともある。
私の後輩と飯沼先生は、いわば師弟関係にあたるわけである。

1曲めと3曲目が後輩指揮者の担当。
2曲目が飯沼先生の担当。

合唱に限らず音楽をやっていてステージを経験したことのある人なら、それがどれ程残酷であるかがお分かりいただけると思う。

このブログはバイオリンブログと銘打っているので、バイオリンに置き換えてみよう。
発表会などで、最後に先生が何曲か弾いてくださるという構成になっていることがあると思うが、その「先生のターン」であるはずのプログラム中に、自分が先生のバイオリンを借りて弾く。最初に自分が弾いて、次に先生が弾いて、また自分が弾く・・・というのと同じシチュエーション。もちろん、相応の実力があってこそ共演させてもらえるのだが・・・。


まず、後輩指揮者が1曲目を演奏する。
合同ステージは言ってみれば「にわか結成」の合唱団であるため、声の方向性が違ったりして、イマイチだったりすることも多いが、このステージは声質がかなり集まっているし声も伸びやかに出ている。
子どもが生まれた瞬間をテーマに扱った曲で、1年ほど前に子どもが生まれて父親になっている彼から親としての気持ちが溢れて来ている上、歌い手がいわゆる「ママさん」が多くリアルに出産を経験している人が多いため、『この合唱団にしか出せない音』と思わせるほど、素晴らしかった。


そして、二曲目。飯沼先生にバトンタッチ。

飯沼先生が指揮台に登る。すると、空間が変わった。
音が出始める前・・・伴奏すら始まっていない段階から、もう「違う」のだ。
団員の表情・・・空気・・・安心感と言うか、一体感と言うか、なんとも心地よい雰囲気が広がっていく。
「歌う前から音楽は始まっている」と私は自分の指揮の師匠に教わったが、まさにその通り。

音楽が始まる。
これが、本当に先程の演奏と同じ合唱団なのだろうか?
声が伸びやかとかそんなレベルではない。

気がつけば止めどなく涙が溢れていた。

同じ合唱団。同じ歌い手。同じステージ。立ち位置すら変わっていない。
変わったのは指揮者だけ・・・。


演奏が終わると、割れんばかりの拍手。
今の演奏が良かったかどうか等、聞いてみる必要など無い。
観客とは素直なものである。


私は一応10年ほど合唱指揮者をやっている。
なので、指揮者の実力差で合唱団から引き出せる力に大きな差があることは分かっている。
しかし、ここまでハッキリと見せつけられると、指揮者として恐ろしいと思ってしまう。


一応、後輩指揮者の名誉のために言っておきたいが、彼の指揮者としての能力は決して低くない。
彼は後進指揮者を指導する会において若くして講師を務めており、また、私の出身団体である大学の合唱団の顧問を務めている。ハッキリ言って、実力は関西の20代~30代の合唱指揮者の中ではトップランクである。
そのテクニックは当の飯沼先生が一目置いており、あちこちで共演をさせてもらっている。

しかし、こうして「同じ合唱団を同じ舞台の上で歌わせる」というガチンコ対決をやってしまうと、途方も無い力の差があるのだということをまざまざと見せ付けられる。

合唱界に名を馳せている巨匠は伊達ではない。
我々がおよびも付かない遥か高み・・・。



アンコールは飯沼先生。

演奏会終了後、しばらく立ち上がれないほど泣かされて、大満足のコンサートだった。
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comment

Secret

合唱

未知の世界です。合唱。
テレビでちらっと見た事があるくらいです。
生で聴いたことは・・・多分ないです。
ぷぃぷぃ虫さんのブログを読んで
とても聴いてみたくなりました。

それにしても奥さんとデート!
それが映画に演奏会♪
素敵なおしゃれ夫婦を想像してしまいました(笑)

音楽

こんにちは♪
な、、、なんと!!!
本当に『残酷なステージ』ですね…恐ろしいです!!
昔はよく分かりませんでしたが、大学でオケに入ってから
指揮者の凄さを知りました。
本当に、なんでああ音が変わるんでしょう?
弾いている方としても、不思議です…

>「歌う前から音楽は始まっている」
これはオーケストラの演奏の場合も同じことが言えると思います。
そしてまた、音が鳴り終わっても、
指揮者が棒を降ろすまで音楽は続いていますよね。
チャイコフスキーの悲愴を演奏した時、
4楽章が終わり、客席もステージも沈黙に包まれた数秒間…
確かに、そこには音楽がありました。泣いてしまったほどです。
その場の空気そのものが音楽になる瞬間が、私は大好きです(*´`*)

指揮者

こんばんは(´▽`)

合唱とか、オケとかの世界が
ぜんぜん、分からないのですが、
指揮者とは、野球とかでいう監督みたいな
ものになるのでしょうか?

ただ、指揮棒をふっているわけではないのですよね?

そもそも指揮者の役割というのは
どういうものなのですか?

すみません。初歩的な質問で・・・(>_<)

Re: 合唱

こんにちわ~

良いですよ~ 合唱。
是非、一度、生で聞いてみてください。
合唱は音に詩をのせられるので、楽器だけとはまた違った感動があります。

また、合唱は体ひとつで出来る為、音楽の中では入り口のハードルが低い世界だと思います。
そのため、選手層(?)があつく、アマチュア合唱団の演奏会は毎週のように何十と行われています。
一人ひとりを歌わせると、正直上手いとは言いがたい人たちが、合唱で音出しすると息を飲むほどすばらしい音が出る・・・という事がザラにある不思議な世界でもあります。

デートって言われると照れますねぇ(´∀`*)
私達夫婦は、基本 ボケとツッコミの関係でいつもギャーギャー騒いでいるので、おしゃれとは程遠いです(笑)。

Re: 音楽

ほっとけーきさん

こんにちわ~

ほんと、驚くほど変わりますよね。
前に立って動いているだけで自分は演奏しないのに・・・。
色々賛否あると思いますが、人間は感情に支配される生き物なのだということが前で指揮を振っていると痛いほどわかります。プロはまた別でしょうが、一般レベルのアマチュアでは演奏者に嫌われている指揮者が良い演奏を引き出すことは難しいです。善悪に関わらず、人間的な魅力に乏しい指揮者が振る演奏は、やはり魅力に欠けるものとなる傾向にあります。
合唱は体が楽器である分、普通の楽器よりもさらに感情支配が強くなりやすいように思います。
指揮者によってなぜ音が変わるのか・・・というテーマもいつかブログで書いてみたいですね。

良いですね。静寂。
自分が泣いてしまうほどの演奏など、そうそう出来る物ではありませんよね・・・。
音楽ってホント空気なんですよね~。上手いからといって素晴らしいとは限らない。
どこかで聞いた「音楽とは時間的に組織された音と静寂である」というのを思い出しました。

再び失礼します!!

>音楽とは時間的に組織された音と静寂である
わぁ、この言葉、的を射てますね。

そうそう、前に合宿中にトレーナーの先生が
私たちが弾いている個所を説明しながら
『この音楽で一番強い音は休符だ』と仰っていました。
指揮者の先生も、
『この休符のために、音がある』と。

その時まで、音楽=音と思っていた私には
とても衝撃的でした。

Re: 指揮者

ありるまさん

こんにちわ~

指揮者の役割みたいな事については近々記事にしてみようと思っています。
最初、コメントへの返信で書いていたのですが、あまりにも興がのって長くなったので、本編に乗っけようかと・・・(´∀`*)

ネタ提供ありがとうございます(笑)

Re: 再び失礼します!!

ほっとけーきさん

こんにちわ~

ちょっと調べてみましたが、この言葉は全米音楽教育者会議MENCによる「音楽の定義」らしいです。
音と音楽の違いは何かという問題に対する一つの答えだと思っています。

私も音がなっていないところも含めて音楽であるということに、初めて気付かされたときには衝撃でした。


>『この音楽で一番強い音は休符だ』
>『この休符のために、音がある』

この言葉、まるごといただきます。ありがとうございます。

私は現在、所属している合唱団で「永訣の朝」(宮沢賢治 作詞/鈴木憲夫 作曲)という曲に取り組んでおり、指揮を振っているのですが、曲の途中にG.P(全休止)が出てきます。このG.Pのために曲があると言うとさすがに言いすぎかもしれませんが、少なくとも前後の音は全てG.Pの為にあり、私はそのG.Pの解釈上でどうしてもやりたい音楽があった為にこの曲を選んで練習をしています。まさに、その全休止という静寂のために音が存在しています。
次の練習でちょうどその部分をやる予定にしているので、団員に上の言葉を言ってやりたいと思います。

ありるまさんからの質問の答えの一つになるかと思いますが、そのG.P.でどれだけの音楽が引っ張り出せるか・・・。そこに指揮者としての役割の真髄があるように思っています。

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プロフィール

ぷぃぷぃ 虫

Author:ぷぃぷぃ 虫
酒飲み三十路男。
ふと思いつきでバイオリンを初めてしまう。合唱歴は10年超えだが楽器は素人。
ひょんな事からヴィオラも初め「させられる」。レイトスターターながらスイッチプレーヤーを目指すことに・・・

職業 SE。やぎ座のA型。

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