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指揮者とは何ぞや

少し前の記事へのコメントで、ありるまさんからいただいたご質問。


そもそも指揮者の役割とは何ぞや


過去に色んな人から同様の事を聞かれたことがある。しかし、私からの回答は毎回異なっている気もするし、的確に応えられたかどうかもわからない。ありるまさんからは「初歩的な質問」としていただいているものであるが、実は、指揮者を経験した身からしてみれば、永遠のテーマともいえる深い命題だったりする。
今回は久々にこの命題に取り組んでみたいと思う。

最初はありるまさんのコメントへの返信で書いていたのだが、途中で興が載ってしまい本編に投稿することにした。
なお、今回はかなりノープランで書くつもりにしている。「指揮者とは」というテーマは自問であり、今、自分の心の中にある指揮者像を映しだす行為。だから、映してみるまでは判らない。
まぁ・・・ノープランで書いているのはいつもだろう・・・というツッコミもあるだろうが。。。

いつもにも増して、駄文・長文になってしまうかもしれない。
また、内容には賛否あると思うし、他の指揮者の方々が見たら「それは違うだろ!」とお怒りになるかもしれない。どうか、私の超個人的な指揮者感であると割りきっていただき、それでも興味がある方はお付き合いいただけたら嬉しい。


そして、ありるまさん。
万年ネタ不足の私・・・ネタのご提供に感謝します。


   

前置きが長くなってしまった・・・。

まず、指揮者とはどんなことを普段やっているのか?
それから書いてみよう。


オケ・合唱に関わらず、指揮者に期待されている仕事は多岐に渡る。


常任指揮者であれば、日常の練習を率いることになる。
したがって、野球監督のような指導的立場としての仕事を期待される。


また、合唱団であれば時としてボイストレーニングや歌唱指導といった直接的な技術指導を行ったりもする。
プロやそれに準じる合唱団であれば専任のボイストレーナーがいるが、ほとんどのアマチュア合唱団ではそういうわけには行かない。毎回の練習で発声練習を指導するのは指揮者であることも多い。その場合にはトレーナーやコーチとしての仕事を期待される。


演奏会を開くとなれば、選曲において大きな発言力を持つ。
しかし、裏を返せば、多くの楽曲を知り、紹介できる引き出しの多さを期待されているということである。演奏者の力量を知り、曲の難易度、演奏栄え、ステージ構成による効果・・・さまざまなポイントを加味して選曲する。加えてアマチュアグループにおいては演奏者側の満足度も大きく加味する必要性がある。
ただし、こちらもプロに近づけば近づくほど、ステージをプロデュースする役職が他にあったり、場合によっては主催者の意向で曲が決まってしまっている場合も少なくない。よって、別に一曲も知らなくても問題はない。


演奏においては表現の決定権を持っている。
・・・というより、どのような表現で演奏すべきであるのかを具体的に提示する義務がある。
それは音量であったり、テンポであったり、間や奏法・歌唱法であったりするわけなのであるが、当然、多くのテクニックを知った上で楽曲を研究し、作曲家を知り、過去の演奏暦等から一般的な楽曲解釈象を学ぶなどしないと豊かな表現を提示することが出来ない。合唱ではさらに、音に詩がのっている。したがって、音や作曲家の研究とは別に、言葉や作詞家を研究する必要が出てくる。宗教曲であれば、その宗教をある程度理解し歴史を知っていなければ曲も詩も全く理解することができなかったりする。古い楽曲であればたとえ日本語であっても現代と違う意味で使われていたりする。したがって、言語そのものに対する考察が必要になる局面も存在する。
様々な角度から楽曲を解釈し、表現を選び、それを演奏者に提示する。指揮者の最大の仕事の一つであると言えるだろう。
ちなみに、こちらもプロになれば指揮者だけがすべてを決めるわけではなくなっていく。定番曲であれば楽団としての楽曲解釈があり、指揮者の持ち込んだ音楽性に全て従ってくれるとは限らない。客演指揮ではオケ解釈と指揮者解釈の「ぶつかり」や「融合」を感じることが楽しみ一つのである・・・という人もいる。


さらに、演奏は人間が集まってするものであり、当然そこには人間関係上のトラブル等がつきものである。特に大きな楽団や合唱団になればなるほど、指揮者単体の統率力ではなく、パートリーダーやサブパートリーダーを通じて組織だって活動を行う。
マエストロ級のとてつもないカリスマ性がを持ち合わせているのなら「オレ流」で振る舞っても全く問題ないのであろうが、多くのアマチュア指揮者は一般的な組織統率力が不可欠となる。よって、高いコミュニケーション能力、統率力、リーダーシップが求められる。
しかし、こちらも、コンサートマスター等の他リーダー職の統率力が素晴らしければ別になくても音楽は鳴る。


言うまでもないことであるが、アマチュア合唱団のなんちゃって指揮者である私は、どれひとつ取ってみても満足にできやしない。

   


このように、指揮者に求められている仕事と能力は多岐に渡るが「専門家がいたらそちらに任せることが出来る仕事」も多い。各知識や能力を持っている必要はもちろんあるが、指揮者の本質的な役割とは異なるような気がする。


では、前でタクトを振ることだけが本質的な指揮者の役割か?

よく、指揮者のタクトでテンポが決まっていると一般的には認識されている。
確かにそうだが、必ずしもそう「なれている」とは限らない。
演奏者の力の方が高く指揮者が力量的に劣っている場合、指揮者は立って降っているだけの人になる場合がある。
この場合「リズムを取っているだけの人」ですらない。実は演奏に合わせて振っているだけのお飾りに成り下がっていたりする。


演奏者の能力が高い楽団はタクトがなくても演奏ができる。実はテンポは指揮者がいなくてもそろうのである。むしろ、指揮者が指示しないと揃わないようでは、音楽が揃わない。辻井伸行という盲目のピアニストがいるが、当然だが指揮が見えない。しかし、ピアノ協奏曲を演奏している姿をみると、タクトが見えていないなどとは信じられないレベルでオケと合っている。もちろん辻井伸行が類まれなる演奏家であるからこそなのだが、いわゆる「指揮法」はこの場合あってもなくてもどっちでもいいのである。


私の指揮の師匠は言う。

本当に素晴らしい指揮とは、振らない指揮である


本当に素晴らしい指揮者は指揮など振らなくても、ただステージに上がっただけで空気が変わる。
ただそこにいるだけで演奏者からは、音楽がほとばしり出てくる。
それは安心感から来るのか、カリスマ性のなせる技か・・・。

別に指揮法や知識が不要というわけでは決して無い。
あらゆる技術と知識と能力を持った上で、それを超越したところに指揮者としての真の役割が有る気がする。




今、私が思う指揮者の役割は二つ。

引き出す事



場を作る事


演奏者が持つ真の実力と音楽性を引き出す。
スコアに隠された意味や表現、作曲家の意図を引き出す。

それらを融合して"音楽"にする。


引き出された音楽が"鳴る"ためには、そこに"場"がいる。
空気感というか、緊張感・・・もっというと期待感とでも言おうか。

マエストロは背中で聴衆をも指揮するという。
聴衆の期待を持った空気感や緊張感も含めて音楽の場が出来上がる。
場を支配できないものはそこに感動する音楽を置くことはできない。

真の指揮者のステージは、指揮台に登る前、舞台に入ってくる時からもう"指揮"がはじまっている。立ち振る舞いの一つ一つで場が創られていく。そして、観客に背中を向けてタクトを構えた時・・・まだ"音"がなっていない時からもう音楽が始まっている。


なんだか曖昧な感じだが、指揮者とはそういうものだと思っていている。
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comment

Secret

すばらしい~!!!

こんばんは。

早速、こんなご丁寧に記事を書いてくださり、
ありがとうございます。
隅から隅までじ~~~~くりと読ませていただきました。

ホント知らないことだらけだったので、
記事を読みながら
「へ~!すごい~!」とか
「ぎょへ~!大変そう~!」とか
大きな声を出してしまいました(;´▽`A``

一番感じたのは、
「内容は違うけど、なんだか自分のしている仕事と
内容は一緒なんだな~」と変なところで
関心をしてしまいました(;´▽`A``

指揮者って、大変なのですね~。
でも、奥深い!
それに、音楽の知識だけでなく、
人としての基本的な能力も必要なんですね。

う~ん。
奥様ネタの記事も大好きですが、
今回の記事は、とっても感動させていただきました。
ありがとうございます。

たまには、こういった内容のこと
(合唱団のころ、こんな事件があった!とか、
 こんなすばらしいことがあった!とか)

また、時々書いて欲しいです(´▽`)
ぜひとも、よろしくお願いいたします。

あるある…

ブログランキングで、すごい上位にランクインされてますね!
さてさて、小学校の頃に合唱の指揮をやったことがありますが、まさに曲に合わせて棒を振ってるだけでした(苦笑)
曲をリードしているのは、もちろん伴奏をしている音楽の先生で…

アンサンブルで譜読みが大変で、弱音吐いたりしてますが、良く考えれば、指揮者は全パートを把握するのはもちろん、曲の解釈、作曲者についても歴史的背景についても、自分の何倍ものことをこなしているんだと思うと、改めて凄さを感じます。
指揮者は耳の良さも大事ですよね。
同じパートの人が何人もいるはずなのに、誰がどんな音出してるのか、ばっちりチェックされてるから気が抜けないi-230

あ、それから、リンク張って頂いてるのに今になって気付きました。
こちらからも張らせていただきますね。

No title

こんばんは(*^ー^*)

合唱だとボイストレーニングなども指揮者が指導することが
あるんですね!知らなかったです!!

あぁーーー、なんか私も色々書いてみたのですが
全部まとまりないし、長ったるいし、
最終的に自分が何言いたいか分からない!
って感じになっちゃったので・・・・

他の人の指揮者についての考えを読むのは面白いし、
勉強になります!!!

とコメントはこれだけにしておこうと思います笑
指揮をされているだけあって考えがしっかりしていて深いですし、
なるほどなぁ、と納得できます。
何回も読み返させていただきました。

ぁ、私も『ランキングすご!!』と思いました!!!
ぽちっと、してますよ~♪

Re: すばらしい~!!!

ありるまさん

こんばんわ~
もっと早くに書いて投下するつもりが、結局二週間も温めてしまいました(;´Д`)
そして、脳内ダダ漏れのなが~い文章を読んでいただきありがとうございます(´∀`*)

確かに指揮者と演奏者の関係は、ディレクターとエンジニア/デザイナーの関係と似てるところが多いかもしれないですね。ディレクターが何も無いところにイメージを作ってエンジニアやデザイナーに伝えて形あるものに仕上げていくところは、指揮者が練習を通じて音楽を仕上げていくのと本質的に一緒のことのような気がします。

指揮者は確かに大変ではあります。指揮者と一般団員では、かかっている負担は3倍や4倍では済まないと思います。そして、果てしなく奥深いです。バイオリンのレッスンでは「できる」とすぐに先生はさらに上を要求して来ますが、指揮者はまさにそれと同じことをします。団員に対して果てしなく上を要求し続ける生き物です。従って常に団員よりも何歩も前、何段も上の音楽を見て理想を追求しなければなりません。
そのかわり、団員が素晴らしい音を鳴らしてくれた時に、それを一番良いところで聴けるのは指揮者です。

ぁ・・・ちなみに総じて「一般論」です。
繰り返しておきますが、私は音楽の知識も人間的能力もまだまだ全然の迷指揮者です(笑)


そして、リクエストまでしていただけるなんて!
こんなのでよければ、いくらでも!
合唱は続けておりますので、時々つらつらと書いてみることにします。

ちなみに大学の時に所属していた合唱団は色んな意味で激しすぎてブログでは倫理的にアカンかもしれませんので、合宿の酒の肴にでもしましょうか(笑)

Re: あるある…

キキさん

こんばんわ~

ブログランキングは私が一番驚いています。
バイオリンでの登録サイトが少ないとはいえ2位て・・・(゚д゚)
すべては皆様の応援の賜物です。ありがとうございます。
これからも応援していただけると嬉しいですヾ(*´∀`*)ノ

相互リンクもありがとうございます~
これからもよろしくお願いします。


小学校の合唱の指揮は、ほとんどのケースがそうでしょうね(笑)
逆に小学生の時点でリードできていたりしたら末恐ろしすぎると思います。


合唱ではパート数が普通そんなに多くないし(大体4~8パート)音色も所詮は人間の声の範囲なのでまだ聴きやすいです。4パート位だったら、元々の能力にかかわらず一年も指揮者をやれば聴けるようになると思います。
オケは楽器やパートの数が凄まじいので、オケの指揮者は凄いと思いますねぇ・・・。
また、合唱は人間の歌い方を人間が指摘するわけなのでいわゆる「見本」を見せることが出来ますが、オケで全部の楽器が出来る指揮者などいるはずもありませんから、いったいどうやって奏法の指導をしているのかすごく興味があるところですね。

一度、指揮者席に立ってみれば分かると思いますが、指揮者の目線に立つと練習してきた人とそうでない人は音を鳴らす前からほぼ分かります。練習してきてない人はまずあまり目を合わせてきませんし、演奏が始まっても指揮を見てません。常任指揮者としてしばらくやっていると、団員一人ひとりの音色をある程度覚えてしまいます。なので、誰が音を外したかはバレバレだと思って良いでしょう(笑)

ただ、アマチュア団において音の違いをアンサンブル中に名指しでストレートに指摘する行為は、指揮者としては非常にリスクの高いものだと思います。のだめカンタービレでそういうシーンがありましたが、アレは指揮者としては笑えないシーンでして、本当に起こります。正論でストレートな指摘をすればするほど、特にアマの楽団は鳴らなくなっていきます。しかし、指摘しないわけにも行かないので、そういうところにさっそく「指揮者の力量」が問われることになります。

指揮者は指揮者で実は毎回ドキドキしながらやっていたりしますよ(笑)


Re: No title

ほっとけーきさん

こんばんわ~( ・∀・)ノ

時々ボイストレーナーの先生を呼んで指導してもらったりもしますが、合唱では指揮者がトレーナーを兼ねている事が多いです。当然自分が出来ないと指導できませんから、合唱指揮者は「ええ声」の人多いですよ(笑)
私はオケの練習を見たことがないので、オケでは指揮者が団員にどのように指導を行っているのかは大変興味があります。なにせ「自分が弾けない楽器」についてまで「あーせぃ こうせぃ」を言うわけなのですから・・・。

その色々書いてみたやつ・・・投下してくれたら良かったのにー(笑)
コメント欄ですし、別にまとまってなくても構わないですし、文が長いのは私もですし・・・。
そもそも、私の本編がまとまってませんしね(笑)

「指揮を見てる側」の考えいうのは、曲がりなりにも指揮を振る者としては色々と聞いてみたいものだったりします。同じ団の人は人間関係が緊密すぎて、逆にそういったことは遠慮して話してくれませんからねぇ・・・。


ランキングは自分でもびっくり仰天です。
応援ありがとうございます~

これからもポチッと応援よろしくおねがいします~ヾ(*´∀`*)ノ

勉強になりました

指揮者って?
という問いに、音大出てるうちのダンナはこんな具体的に答えてくれません(笑)
「前で棒ふってる人だよ!棒は無くてもいいんだよ!」
としか言ってくれないので、ぷぃぷぃ虫さんから仕入れた知識で、ふっふーん知ってるもんねー♪と言ってやります!ありがとうございます!!!

この記事を読んで、自分が仕事で心がけているキーワードが太字で出てきてドキドキしました。
「引き出す事」「場を作る事」
いろいろな事に共通する心得なんでしょうね。
もうひとつ「共感する事」の3つを心がけてます。

Re: 勉強になりました

ぴっぴさん

こんにちわ~

それはそれは・・・思いもよらないところでお役に立てて光栄です(笑)
しかしながら、音大では指揮科でない学生も普通の大学でいう一般教養みたいなカリキュラムで多少は指揮を習うようなので、私の知識が通用するかどうかはかなり微妙だとは思いますが(笑)

「共感する事」・・・なるほど、それは音楽においてもとてつもなく大切なことですよね。
演奏者と指揮者が、聴衆と演奏者が、指揮者と聴衆が・・・皆が共感してこそ何か素晴らしいものが生まれるんですもんね。
指揮者がやっていることは、実は仕事という意味では当たり前の事ばかりです。
当たり前のことだけど、それでいてとっても難しい事・・・そういう感じだと思います。

情報を発信したつもりで、逆に頂いてしましました。
「共感すること」・・・これを加えておきたいと思います。
ありがとうございます。
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プロフィール

ぷぃぷぃ 虫

Author:ぷぃぷぃ 虫
酒飲み三十路男。
ふと思いつきでバイオリンを初めてしまう。合唱歴は10年超えだが楽器は素人。
ひょんな事からヴィオラも初め「させられる」。レイトスターターながらスイッチプレーヤーを目指すことに・・・

職業 SE。やぎ座のA型。

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